2009-02-13

黒い獅子

この間友達から黒い獅子がついたブレスレットをもらった。

とてもうれしかった。 

それをもらった日は不発弾騒ぎで、変な感じにアドレナリンがラッシュしていた日だった。

出会い頭から、私は怒っていて
「君にあえて嬉しいけど、私すっごい不機嫌!! なんか君にも腹が立つ!!! なんだよ、ニコニコしやがって!! 私は君に会えて幸せだけど、すっげーーイライラもしてるぞ!!」と荒れ狂っていた。

今考えると理由が分かるんだけど、相手は「短い時間でも会えれば良い」とか「どうしても会いたい」とか言っていて、なんてわがままなのだとイライラした。 渡す物があったのならそう思うだろうし、しかも渡し物があるのを隠していたからそううじうじした物言いになっていたんだろう。 悪かった。

そんな察しのつかない不機嫌な私は、相手にわがまま言いたい放題だった。
「私に会えて本当に嬉しいって言って。」「会えて本当に嬉しい。」
「今日のワンピースすっごい可愛いって言って。」「すっげー可愛い。」
「わざわざメリッサのヒールを履いてきてくれる女の子と友達でよかったって言って。」「メリッサ履いててくれてうれしい。」
「今日の私の外見は今までの私の中で一番って言って。」「すごく良いよ。」
「私が世界一だって言って。」「もー世界一。」
「私が来なかったら泣いちゃったって言って。」「すごく悲しかった。」
「怒ってるけど、気持ち分かるよって言って。」「気持ち分かるよ。」
「私に会えたから、世界がバラ色って言って。」「アンナに会えたから世界はバラ色。」
「不発弾は爆発しないって言って。」「っはぁ?!」
「爆弾処理班は有能だって言って!!!」「っはあああ? 何の話し?!」 
ってのを繰り返した。 

仕舞には「私が世界一の女の子だって言って。大好きで、大好きでしょうがないって言って!」ってレベルにまで達した。 それぐらいなんかくじけそうにイライラした。

足下に石があったら、蹴り上げたい気持ちに狩られながら彼と歩いた。 

そうしたらワンダフルなアクセサリーをショーウィンドーで見つけた。 勿論、速攻でコレ買ってと我侭を言う。 自分で買えと怒られる。 「もう、君とは話さない。二度と。 目も見ない。」と言ってもめる。 

「あんた、今頭おかしいんだよ。 チョコレートフラペチーノでも飲もう。」とカフェに連れて行かれた。 そういえば、この子は去年の年末ミルクシェイクを飲んでいる時に指輪をくれたよなあ。 あのときは指輪とか買ってくれたのに、今回は買ってくれなかった。 学生の時より貧乏ってどういう事だ…。 思えば遠くに来たもんだ、ああ不発弾…、としみじみとした。

 そうしたら相手がごそごそと「さっき欲しいって言ってたのと全然違うけど…。 もし好きじゃなかったら、僕が見てないところで誰かにあげるか捨てるかして。」と言ってプレゼントをくれた。 

箱のサイズは小さくて、薄い! 

っも、もしや?!と思い、開けて見るとブレスレットだった。 もーーー、その場でカフェの椅子から飛び上がって、相手に右頬キス、ハグ、左頬キス! 

「我侭ばっかりで、ごめん!!  本当にもっともっと良い女だったらって、いつも願うんだよ。 そうしたら君にももっとプリーズドしてもらえるのに! 君に対してもっと優しくなりたい、大好きだから! 心入れ替える!」と速攻でコンフェッションをした。 

絶対に、アクセサリーには女を「私ベターな女になります」って反省させる魔力がある。 ロイアルストレートフラッシュだ。 駄目な女にはアクセサリーを贈れ! 一瞬で謙虚になるから。 

つけてみるとすっごい可愛かった。 真っ黒の石が連なっていて、真ん中にちょと間抜けズラした獅子がついてるの。 かなり狂ったデザイン! 

「アンナと言えば黒だから、黒でコンテンポラリーで、でも中国ってのを探したの! あとあんたの大好きな間抜けな空想上の動物!」と誇らしげに言われた。 

「それでね、この間アンナがこれからは化石を集めるって言ってたでしょ?」と相手が切り出した。 杉本博司にむやみやたらに刺激されたって、この子に手紙で書いたんだっけかなと思い出し、「そうそう、骨とか化石とか、見つけたら教えてね。」と返事をした。 

「これもね、そうなの。 黒い琥珀なんだって。 恐竜とかがいた頃の木の化石なの。 中国の人はお守りとしてつけるんだって。」と言われた。 なんか色々考えてくれたみたいだ。 化石出来た、コンテンポラリーだけど伝統的なアクセサリーだなんて、夢みたい!
 
「アンナは、小さくて身につけられる物か、本かぐらいしか喜ばないじゃん。 うん、だからこれにしようと思って、前もこんな事言ってたし、あんな事言ってたし」とこれを選んだ理由を羅列された。 「お前、絶対に良いデザイナーになるよ!! 相手の事、よく考えてる! ニーズに答えたな!! 今のうちにサインくれ!」と感動して握手した。 

それにしても言ってみるもんだ! 化石で出来た真っ黒のアクセサリー+チャーミングな獅子付きのを手に入れた!! だからもう一回、「次は絶対にさっき見た、ダイヤモンドがついたバブーシュカの形のネックレスね!」とリピートしておいた。 「そうかー、お守りかぁ。 じゃあ不発弾撤去もスムーズに行われているかも!」とルンルンした。

なんだかすっごい嬉しかったから、「すっごい嬉しい、特別な気がする!」って言ったら、「いつでもアンナは特別だよ。」と返される。 なんてベイビーボーイ。 本当に、よく出来たデザイナーだ。 もとい、よく出来た友達だ。 「君もすっごい特別!」とお互いの方を叩き合う。 

いやー、反省させられた。 私は人にうじうじされると、私の事をそこまで好きじゃないんだと勘違いして勝手に傷つく。 でもうじうじの背景に「これから相手をすっごい喜ばそうと思ってるけど、拒否されたらどうしよう」ってのもあるんだと思う。 私に出来る事は、そういううじうじを全く持たなくても、安心して「この人なら喜ぶ!」って思われるようになる事だと思う。 そういう気軽な友達に私はなりたい。

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