2009-03-30

さすが大将

 友人のブログに横尾忠則の日記が引用してあった。 職場で油断していたボディーに激しくヒットした。 こんなにすかっと笑ったのは今年入って初めてだと思う。  大笑い。 さすが横尾忠則。 日常という崖端の最も優れた場所に火薬を仕掛ける。 一発の爆発で一気にいろいろ崩壊。 やっぱ出来る人は違う。 花火師…。 彼って花火師の大将だわ。

これがその日記の引用。
 
3月5日
韓国から帰国して羽田に着いたら、日本人が全員韓国人に見えた。高速から見るビルも韓国の風景に見えた。帰宅して長男や長女、事務所のスタッフの顔を見たら、皆んな韓国人に見えた。


たかがこれだけの文量に、私の岩盤は崩れ落ちました。

この人って本当に偉大なる花火師だなと思った大人が数人いる。 そして全員結構同じような特徴がある。 妙にすがすがしいのだ。 日々火薬を埋め込む為、最も適切で、深くまで爆発が届くヒビを探しているからだろうか。 心は色彩あふれているのに、頭は妙にすっきりしていた。 だから一緒にいて本当に気持ちがよかった。 すっきりって言っても別に冷たいとか、排他的だとかってわけなじゃく、ただノイズが極端に少ないの。 私も就労したばかりの見習い花火職人として、気持ちよくノイズから自由でいたいものだと思う。 いつの日か、ノイズフリーで、火薬を仕掛けまくり「こんなんでました!」ってやりたいね。

辻 惟雄先生も立派な花火師のうちの一人だ。 多摩美で彼の授業を受けているときに静かな爆発を沢山見た。 目の前でガラガラと岩盤が破壊さえていくのは快感だった。 そんな彼の書いた日本美術史の教科書、「日本美術の歴史」の表紙は、横尾忠則。 表紙からして小爆発。 中は爆発の連鎖。 清々しい。 爽やかではないか。

あっはっは! それにしても、たった2行の文章でここまで旅情とか日常のもろさとか、心の混乱を伝えきるってのは見事なものだわ。 見習いたい。

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