2010-04-01

GAP YEAR

 茂木健一郎さんのブログにGap yearの事が書いてあった。 そういえばこういのって日本にない。 

 ギャップイヤーとは、高校から大学進学までの間や、大学卒業から就職までの間に往々に人々が取る一年間位の休みの事。 ニュージーランドの場合は大抵の人が取る。 a.肉体労働をしてみる(炭坑や牧場で働く) b.世界一周の旅に出る c.第三世界にボランティアをしにいく  d.諸外国にワーホリにいく などをする人が多い。 大学に入る前にギャップイヤーをしなかった人は、大学卒業後に。 大学に入る前にやった人でも、卒業後にまたしたりする。

 ギャップイヤーって、元来仕切り直しの年なんだと思う。

 スクール(カリキュラムが決まっていていろんな事を上から教わる場所)と、ユニバーシティー(リベラルな環境でリベレイトされ、勉強というよりは研究をするための場所)って、そもそも全然違う。 ユニバーシティーと、職場も全然違う。 全然違う環境同士がシームレスに繋がる事は無理なので、人々はギャップイヤーを挟む。 そして、そこでそれまでの規則や価値観から一度解放されて次の環境にいく事を推奨される。

 旅行っぽい形でのギャップイヤーをやらない人でも大抵交換留学をしたり、国同士が若い人に向けてやっている労働力交換プログラムみたいなのに参加する。 日本が海外に向けてやっているので、とても人気があるのはJET(外国語青年招致事業)だ。 私の友達は沢山これで短期間日本に働きにいっている。 日本は英語圏の人達からしたら言葉が通じないし、文化も違うし、科学技術力が発達していて近未来だし、最も人気なギャップイヤーのディスティネーションの一つだ。 って事でJET大人気。

 多分これはグランドツアーの現代版なんだと思う。 グランドツアーは、18世紀頃のイギリスで大学とかにいくような階級の子たちが一年位を使ってしていた海外研修旅行だ。 その人の専攻によっても旅行先は違うけど、大抵はローマとかギリシャとかっていう西洋文明の古典発祥の地や、当時カッティングエッジな地だったフランスなどに行った様子。

 (そういえばニュージーランドは、グランドツアーにも若干かぶる’冒険大好き根性’のノリが激しくなって植民地化されちゃった悲劇の地なので、大学ではマオリ人の大学教授から歴史の授業で若干憎々しげにこの事について教わった。 冒険大好き根性は下手すると帝国主義やオリエンタリズムと重なってしまうからね。 アウチ!)

 anyway、元々インテリ層及びアッパーミドルクラスにあったグランドツアーを推奨する要素と、現代社会の環境同士の恐るべき断層(スクールとユニバーシティー、ユニバーシティーと職場)への理性的な橋渡しが必要だった事が入り交じって、今日のギャップイヤーがあるんだろうと思う。



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利点

1.上にも書いたように頭が若干リセットされる

 私の場合は高校とこっちの大学の間に滞在した日本での2年間がギャップイヤーだった。 当時は日本の大学を卒業する気が40%ぐらいはあったので、特にこれがそのものズバリなギャップイヤーだとは思ってなかったんだけど、まあ、結果的にそうなった。

 私の二年間の日本での体験は本当に良かった。 良い経験を沢山したし、今も仲の良い掛け替えの無い友人達にも出会った。 そして、自分が実際学位を取ったときの研究プロセスの間、ずーーっと、このギャップイヤーでの経験が私にインスピレーションを与え続けてくれた。

 この経験がなくて、直接大学に行っていたら、結構しんどかった/子供のままだったんじゃ無いかなあと思う。 大学入る前に一回子供時代の環境から切り離されたってのは良かった。

  
2.案外人生は短いのでこういう時間を上手く見つけないと、出来ない経験ってのが沢山ある

 一体全体いつ、人生のレールから決定的に落ちることなく、ある程度の「生の喜び」を体験できる経験をする事が許されるだろうか? もしくは、自分がそれまで育った環境と全く違う場所での悲喜こもごもを体感できるのか?

 どこかで徹底的なヴォランティア貢献がしたいとか、世界史の現場を回ってみてみたいとか、自分の専攻に関する聖地巡礼がしたいとか、そういうのって考えだすときりがないけど、いつやったら良いかってのは案外難しい。

 確かに大学入る前か、卒業後にするのが一番いい時期そうだ。


3.その後色々と有利

 英語圏だけなのかもしれんが、そういう体験を企業側は労働者に求める。 建築家なら、きちんと世界中の主要建築を見た事がある事を、デザイナーならいろんな国の、いろんな物の使われ方を観察した事があるかを雇用者は気にするし、もしまだ経験していなくても「これからそれをする気があるか」ってのはすごく見られる。

 一年間多国籍グループで協力しあってアフリカに井戸掘った人の方が、そうじゃなかった人よりも何となく評価が高いのだ。 マンハッタンの摩天楼やフランスのエッフェル塔の下から上を見上げて、ビビった事がある人の方が、そうじゃない人よりも、高見を実感できていると思われる。 そういう素朴な感覚が結構ある。

 少なくとも、好奇心と生命力のある人だとは思われる。


4.なんか自分自身が元気になる

 上手く説明できないんだけど、なんか元気になる。 そして、どっか楽観的になる。 自信がつくし、若干物事の具体的なサイズとかが分かるようになるからだろう。

 損得勘定がそこまで関係ない事に一年間やらを費やせるってのは、自分を健康にするために結構適した行動だとおもうんだよね。

 どれだけギャップイヤーを取った事が履歴書上で有意義か否かって言ってもね、最終的には能力さえあれば経験なんて関係ない。 ギャップイヤーが能力を急激に押し上げてくれる訳でもない。 ヴォランティアでした事で「後々自分の利益になるから」っていう損得勘定を持ってしまうのは、どっかで超越できてない感じがしてばかばかしい。

 ただ一度自分がいかなるインステチューションからも離れてみるっていう、損得勘定のリセットにはすごい価値があると思う。

 なんか人をすごく元気にする。

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