2010-04-07

ゆるやかなつながり

 日本で、’つながり’ってのがイシューになっているみたいだね。 無縁であるとか、孤独であるとかってのがクローズアップされているのね。 それでシェアハウスとかかがクローズアップされてるのね。 NHKスペシャルで「無縁社会」として報道された事からの影響なのかな? 私もその番組はNZで見て、胸が痛くなった。

 確かに、日本は「1人」っていう単位が多いかもしれないと思う。 一人一人を徹底的な消費者にする事で国が栄えたっていう流れがあるからだろう。 白物家電でも家具でも、食品でも不動産でも、何でもかんでも家族単位じゃなくて、一人単位に消費してもらったら市場が一気に広がる。 そうやって市場を拡大させる事で、どんどんと人とのつながりを、ときほどいてしまったんだろう。 それで若者の一人暮らしっていう不思議な文化が出来上がったんだろうね。 まあそうやって経済を発展させようと思ったのは、結構クレバーだよなとは思うよ。 その方法が社会を疲弊させた気がするけど。

 Anyway, 日本と比べてニュージーランドはある面においては、結構人と人が親密な国なのかもしれないと思う。 移民の国だからやっぱり一族郎党のタッグの組み方がすごいし、ヨーロッパ系の人口が多いからカップル文化も強い。

 単純に多くの人達は他者と暮らしているし、インターネットでも大抵顔出しだし、結構いろんな事で人間同士なんだから何とかなるって事で本人同士が直接交渉をする。 そういう事が出来る程度には社会に対して安心感があるし、他者に対して肯定感がある。 いざとなったら、ソーシャルワーカーとか、そういう行政が用意している調整役の人達に相談すれば良いっていう態度がある。 みんなそうやって節約をしたりして、時間を作っては旅行に行ったりしている。

 そもそも社会そのものに一人暮らしし用の商品がそもそもそんなに無い。 またNZ人の共通認識として、「賃貸の家賃はどぶに捨てているもの」ってのがあると思う。 なんか払いたくないのだ。 別に自分の銭使って大家さんを豊かにしてあげたい程大家さん好きじゃないし、プライバシーも重視しないのだ。

 確かに夜居場所がある事、荷物をおいておける場所があるのは素晴らしいが、なんかそれでも賃貸の家賃のノーリターンっぷりには腹が立つ。 出来るならば頭金をとっとと貯めて、小さなアパートなんかを買って、自分が日常的に払っている家賃位の額づつでローンを返済しつつ、住宅の値段が上がっているときに売って、若干儲けて、もっと大きな家に引っ越していきたいっていう欲望がある。 (実際もうすでに結婚していたりするような保守的な26歳位の子だと既に、二軒目の購入した家を持っていたりする。) なんか賃貸にお金を払うってのが生理的に苦手な国民たちなのだと思う。 実際私も影響されていてそうだ。 投資にならないのならば、大きな額は払いたくない。

 おおっと、お金の話で、”つながり”っていうイシューとかと離れていってしまった。 
 
 ええっと、多分多くのニュージーランド人はそこまで無縁じゃない。 ニュージーランド人全員に会った事が無いから、言い切れないけど、私の会ってきた多くのニュージーランド人は大概回りに人がいた。

 そしてそういうのを見ていると結構こういうのって親の努力なんだなあと見ていて思う。

 例えばヨーロッパ系の子たちの場合、大抵ファミリーフレンズがいる。 家族単位で友達の家族だ。 大抵が親がカップルだった頃、カップル同士の友達として友情が始まり、お互いに子供が産まれたら”幼なじみ”や、”学校以外の場所での友達”として小さいときから頻繁に遊ばせてそうなるみたい。

 子供も、大人側にかなりなついている場合が多い。 私の多くの友人の実家にもそういう家族単位での友達が何軒かある。 何かあるとそのうちの親の誰かに相談やら質問やらをするため電話をかけているし、子供同士も仲が良くて、初めて実家を出る際も、そのうちの同い年ぐらいの子たち一軒家を借りて共同生活を初めていた。 子供たちが就職活動で使う履歴書の採点とか、親たちのたらい回しでやっていたし、こっちは推薦人や保証人が必要な場合が多いんだけど、彼らがなる場合が多い。

 子供が小さいときはみんなが集まるような企画は親がたてなきゃいけないし、よそのうちの子供みんなの誕生日を思い出してカード送るのも大変だろうし、これは親の努力なんだなと見ていて思う。 でも基本的には”楽しさ”によって結ばれる絆(夏休みの旅行や、バーベキュー、お泊まり会、親同士の助け合い)だから、とても楽しそう。

 またそれ以外にも、子供が産まれた際には大抵ゴッドペアレンツを、一人一人の子供につける。 大抵男女(この二人は夫婦じゃなくても良い)1人ずつが、一人の子につく。 これは元々はキリスト教の習慣なんだけど、今は無宗教の人でも持っている。 もし実の親に何かが会ったときに頼る相手がゴッドペアレンツだ。 また思春期やらで親と上手く行っていないときなんかにサポートする役割でもある。 そして大概ゴッドペアレンツの実の子と、自分は何となく従兄弟みたいな感じで仲良く育てる。 兄妹みんなで違うゴッドペアレンツを持てるのがミソだよなと思う。 家族から若干逃げ出したいときに、比較的遠めで、でも概念的にはとても親密な、自分用の大人がいてくれるってのは大きな支えだと思う。 

 ポリネシア系の人達はまず家族感が全然違って、ものすごく包摂的だ。 単位もでかいし。 母親の女姉妹みんなを「お母さん」って呼ぶようなタイプの人達なのだ。
 
 マオリも、独特の共同体の組み方がある。 彼らもすごくファミリーオリエンテッド。

 それはインド人コミュニティーしかり。 彼らも、端から見ていると、ものっすごく仲良さそうだ。 この間インド人の友人のお母さんが亡くなったんだけど、本当に、そのとき、強い一族の絆ってこういう事かっていうのを本当に見せてもらった。 華僑の人たちは言わずもがなだ。

 キリスト教の人達は、教会が一緒の人達ととても親密だ。

 移民の国だからかもしれないけど、結構そういう感じで人と人のつながりが強い環境があると思う。 勿論そこからもあぶれてしまう人はいるけど…。

 でも結構見ていてインスピレーショナルだなと思う。

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