Tom FordのA single manを、Auckland World cinema showcase で見てきた。 World cinema showcaseはニュージーランドの4都市で行われるその年度の良い映画の見本市。(街のサイズに関係なくどの街でも同じ作品を上映する。 私はこれが結構偉いと思う。)
A single man,私はすごく好きだった! 色々傑出している要素があったんだけど(配役、美術、構成.などなど)私は単純に作品が特徴的に持っていた態度、そこから導かれるメッセージにとても触発されたよ。
映画って批評っていう軸を持って鑑賞すれば、まあある程度の均一な体験として言語化できるのかもしれないけど、ただ鑑賞/体験した際は、鑑賞者側のコンディションやその日思っていた事に感想が大きく左右される。 映画鑑賞って本当に映画そのものと自分自身のインタラクションだよね。 同じ映画を二回目に見る際に、感想が大きく変わるのもその所為。
なのでこっから先に書いてある感想は完全に「今の私がA single manを見た時にどう思ったか」。 他の人が同じ映画を見ても同じ感想を持つとは思わないし、私はその差を楽しんでもらいたい。
映画を見た後に恋人との会話で出てきた言葉は
Cherish
1 〈物を〉だいじ[たいせつ]にする;〈人動物を〉かわいがる, いつくしむ;…をやさしく世話する
2 〈希望計画などを〉忘れずにいる, 心にいだく
Uplifting
1 …を揚げる, (持ち)上げる;〈土地を〉隆起させる.
2 (社会的文化的道徳的に)…向上、を高める, 高揚させる
3 〈声を〉張り上げる
Embracing
1 …を抱く, 抱擁する
2⦅形式的⦆〈考え申し出を〉喜んで受け入れる, 快諾する
3⦅形式的⦆〈主義事態などを〉受け入れる;〈機会を〉捕える, 利用する;〈職業生活などを〉進んで選びとる, に喜んではいる
4⦅形式的⦆…を見てとる, 悟る
Fine
1 品質のすぐれた, 良質の, 上等な, すてきな, 結構な;完ぺきな, 申し分のない, 最高級の;finer feelings [qualities]|(愛とか忠誠心といった)高級な感情[資質]
2 混じり物のない, 純粋な;澄んだ;純度の高い;〈人が〉高潔な
3 技術のすぐれた, 巧みな
4 上品な, 洗練された, 優雅な;上品ぶった
5⦅通例限定⦆〈人顔が〉美しい, 整った;〈衣服が〉はでな, 華美な, しゃれた;〈人が〉いきな身なりの;〈言葉文章が〉華麗な, ひどく飾り立てられた
Virtue
1⦅形式的⦆U美徳, 徳, 善;徳行, 廉直, 高潔
2U(特に女性の)貞操, 操, 純潔(chastity)
3U•C美点, 長所, 価値
4U•C(ある結果を生み出す)力, 効力, (薬などの)ききめ, 効能
Sincerity
本心をいつわりなく示すこと, 誠実, 真実, 率直, 真剣, 真心
Compassion
(他人への)思いやり, 深い同情
Intimate
1 (…と)親密な, 親しい, 親交のある, 懇意な
2 私事[一身上]の, 個人的な;〈連想理解などが〉個人的な体験に基づく;〈日記などが〉内心を吐露した
3 (家店食事雰囲気などが)(こぢんまりして)くつろげる, 居ごこちのよい, ロマンチックな, ムードのある
4⦅限定⦆⦅形式的⦆詳細な;造詣の深い
5 性的な;⦅形式的⦆(…と)肉体関係にある, (…と)ねんごろな⦅with ...⦆
6 (関連の)深い, 密接な.
7 内奥の, 奥深い;内心の.
8 本質的な, 根本的な
など、など、とても肯定的なものだった。
観賞後に人生でこれが大切だよなと思わさせられる言葉が、会話にも、自分の心の中にも溢れたよ!
勿論私自身の生活はこの映画の中で描かれていたようなグラマラスさとほど遠いものなんだけど、人間関係の姿が自分のそれと、そして私の周りにいてくれている人達ととても近い気がして、見た後に結構自分たちに対して肯定観を得た。
異性の友達と二人っきりで食事をする事。 その後にじゃれる事。 親愛の情を込めた近い身体の距離感。 ちょっとしたテンション。 恋人との関係のフラッシュバック。(こういう時は往々に美しい記憶が甦る。 私はそこに本当に人間の良心を感じるよ。 そして悲しいフラッシュバックにも、どこか同じような良心を感じる。) 安心感と信頼が強い基礎となって築かれている人間関係の持つ優雅さとファインさ。 そして、若い生命の無邪気さと輝き。 若い生命を無邪気で輝いていると、素直に受け取る歳をとった側の成熟さ。 儚い言い争い。 友達にアテンションを注いでもらいたくてする、拗ねた行為と甘え。 それを正してくれる温かい友情。
話し自体はヒヴィな内容なので上に書いたような事だけで成り立っている訳ではない。 しかし、どこかで、とても重要な側面(いや、側面というよりは内面 サブスタンスがある)が、上に書かれているような親密である喜びや、人と繋がる事の素晴らしさで満ちている。
映画の前面にそういったcompassionが押し出される訳ではないけれども、様々な次元の人間関係と繋がりが強い、強い、他者への肯定観とともに描かれているように見えた。 明言されないぐらいに、明らかな前提として。
「暴力性やラディカルさから、普遍性のある感覚へたど り着ける」っていう方法が使われていない、全く逆のベクトルから見る側を包摂してくるような映画。
最近セックスってなんだろうとよく考えていて、そしてその事についてもっと大人が話すべきだと思っている。 そしてまさに上に書いてあるような事が私にとってセックスっていう活動において重要で、そして願わくば多くの人にとってもそうであってほしいと思っている。
あと単純に、めちゃくちゃサクセスフルなファッションデザイナーで、グッチやイブサンローランをファッショナブルに去り、ファッショナブルに映画を作り、一本目から名作作っちゃうトム フォードに、もう、私降参。
ファッショナブル過ぎる!!
おすすめな映画なので、見てみてね。
2 comments:
この映画、すごく観たい!
ちょうど連れ合いと別の、とても親密に感じる異性の友人とのことが
うまく考えられないところでもあり。
ヤノマミのドキュメンタリーも、何人か紹介させてもらいました。
文化人類学の勉強をしていたので、彼らについては
いくらか知っているつもりだったのが、改めて衝撃と共感で呆然。
ありがとう!
見てみてください!
確か、良い映画でした。
ヤノマミ、すっごい面白かったですよね。
いやー、リアル百年の孤独。 やっぱり南米における蟻のプレゼンスってすごいんだなと、感動しきった次第です。
やっぱこういう結構自分と関係ないシヴィライゼーションをした文化を見ると、肩の力が抜けますね。 自分の文化に対して良い距離感が持てるようになる。
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