2010-03-22

スニータ・クリシュナン:性的奴隷制との闘い




 メニューバーについているView SubtitleからJpanaeseを選ぶと、日本語字幕がつくよ。

 最近、日本でホットトピックになっていた「東京都青少年の健全な育成に関する条例」内での、若者に関する性描写についての話を聞くたびに、強い違和感を感じる。

 私個人は、本屋で普通にエログロ漫画が売っているのは良くないと思う。 女性や同性愛者、子供たちに’世の中の人達は君たちの事をこういう欲望の対象としてみていて、レイプしたがっているんだよ’ってのを見せるような社会は嫌だ。 結構堂々と女性や同性愛者、子供達の尊厳を傷つけていると思う。 (ってかなんで日本のエロ本って、セックスのディフォルトがレイプなの?) 普通にそういう本が子供の漫画本の横にあったりして、えぐいなと思う。 もし自分たちが次の世代に好かれたり、尊敬されたかったら、もっと自分たちを律する必要があると思う。

 だから、東京都が何かをしようとしている事自体は好意的に見ている。 でもって、彼らの出している提案が始めっからぶっ壊れているのも分かる。 控えめに言っても、インプルーブメントが必要だ。 だから反対意見を言っている人達の気持ちも分かる。 でも、気持ちは分かるけど、多くの意見は好きじゃなかった。

 まず大人達が、セックスとは何か、健全さとはなにか、不健全さとはなにか、性に関する人間の尊厳とはなにか、どこから他者の尊厳を陵辱するのか、誰にどういう影響が出るのかっていうののディスカッションをしていなくて、なんだか暗黙の了解(もしくは甘え)の上で話を進めているような気がするからだ。

 そこのコンセンサスがないのに、話を無謀にも発展させようとしている気がして嫌だ。 すっごい上から目線で話している人が多いし。 自分の属する社会の地位においては、誰の無謀なファンタジーの餌食になるはずが無いっていう勝手な無邪気さを話している人から感じて腹が立つ。 そういうナイーブさが見ていて気色悪い。 ものすごく狭い視野で影響や、意味、当事者、被害者、加害者ってのを定義している気がしてならない。 そして変な意味で利害関係を持ち込みすぎている気がする(eg.漫画文化がクールジャパンで、実際我々はこういうので儲かっているんだから的な意見)。 お前は、出版社の経営者かと突っ込みたくなる。 現状の利害関係とかってある程度、超越して考えなきゃ政治にならなくない? マネージメントじゃなくて、ガバナンスの話なんだから。 漫画家とか出版社とか、妄想の中でしか性の欲求不満が解消できない人の事とか、そういう今利益を得ている人達の立場から考えても仕方ない気がするのよね。

 そして、言論の自由は勿論大切だ。 上の女性のような経験をした人達を勇気づけ、支援し、受け入れる、そのプロセス全てに言論の自由が求められる。 そして性描写を自由に描けるが故に、私達は現実の惨さを他者に伝える事が出来る。

 私は彼女の為に、そして彼女の話を自分が聞けるような状況にいる事で、言論の自由があってよかったとは思う。

 けど、なんか”現状の質の漫画を書き続ける為に”っていう戦術で来られてもねえ。 「そんな漫画いらねえよ」って思うよ。

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