2009-01-31

カーテンとペアプレッシャー

 長々とヨーロッパ里帰り旅行をしていたリースがウェリントンに戻ってきた。 

 多分、気づいている人は気づいていると思うけど、私と彼は張り合っている。 「子供かよ?」ってぐらいに張り合っている。

 元々はもう一人の友達を含めて、三人で張り合っていた。 私が一番若い上に一人で女の子、しかも彼らの生徒という好条件も重なり、たまに戦わずして勝ったりもしていたけれども、それでもやたらと平等意識の強いニュージーランドというお国柄のおかげで、敵は私が余裕を見せた瞬間に後ろから蹴ってくるような攻撃もとってくるのでとても気は抜けない。 

 そんな私達はお互いの新居について結構張り合っていた。 二人して、西沢立衛による森山邸お宅拝見なんてしてしまったので半端無く「素敵なお家に住みたい!」熱が盛り上がってしまったのだ。 

 口では「君がオークランド/ウェリントンに来る時は素敵なお家に泊めてあげるから、楽しみにしていてね♪」なんて言いつつも、本心では「お前よりナイスな家に住むのだ。」って雰囲気は隠しきれない。 お互い激しくお互いをスパイしながら、「どうやって相手にあっぱれな住宅事情と思われるか」の乱を行っていた。 

 しかし私は「貯金したい」につられて、かなりの妥協を今回した。 郊外の住宅地にひっそりと部屋を間借りして住むという結果になっている。 

 そんな中、彼はかなりの勝ち物件を見つけ(しかも一人暮らし!!!シェアじゃないの!)高らかとビデオチャットをして参った。 勿論、google mapのstreet viewのリンクまで準備して。 

 「ウェリントンに来たら絶対に泊めてあげる! 帰りたくなくなっちゃうよ、きっと。」とか馬鹿馬鹿しい事まで言ってきた。 負けたね。 私は完全に負けた。 前々から、「アンが来た時に良い家じゃないとって思うから、すっごい家を探そうと思って」とかってしおらしい事を言って、高めの家を探す言い訳を見繕っていた奴は、まんまと自分を洗脳し、多分かなりの幸運と共に、若干の出費をしたのだろう。

 悔し紛れに、「私の場合君が来たら、私達はメチャクチャナイスなホテルに泊まる。 友達が来る度にそうする。 私はホテルに泊まりたい。 そう、ホテルに泊まりたいのだ。 そっちの方が絶対ナイス! 私、オークランド中のホテルに詳しい人になる。 それに君って、とってもホテル好きじゃん。 ほら、二人してウィンウィン!」とまだ完全には負けてない宣言しておいた。

 それに謙虚に、「郊外の住宅地に住んでいます。 周りには何もありません。 そりゃあそりゃあ見事なものです。 文化という血流が途絶えた場所です。」と白旗は先にふっていたにも関わらず、彼は容赦なく、street viewのリンクまで要求してきた。 そして、リンクを見た後、私が言った通りの事をわざわざリピートしていた。 「アウチ! 本当に郊外の住宅地だ。 周りに何もない。 うわー、人生に一回だけの経験だと思って、ちょっと頑張るしかないねー。 アーティストインレジデンスみたいな感じで。」とかって、もーー、なんて不毛な戦い。

 そして、「何個鉢植え買ったの?」とか、「家具は何色?」とか、細かく調査された。 しかも「今度オークランドに行った時、一緒にカーテン縫おう。 森山邸ばりに素敵なのを!」とかって挑発された。 彼からビデオチャットがかかってくる直前まで、今日買った白いシルクをカーテンに使うために縫っていた私は、考えている事が全く同じで大笑いしてしまった。 どうやら私だけでなく、相手もカーテンと鉢植えで頭がいっぱいになっているようだ。

 「今実はカーテン縫ってたんだよ。 ほら。」って見せた後、「うーん、僕はもっと厚手のが欲しい。」と張り合われた。 頭の中では、お前の話しじゃないんだ!私の話しなんだ!と思いつつ、「まあ、君は男の子だからね。 白のシルクはちょっとね。 もっとがっつりしたのじゃなきゃかもね。 っあ、そういえば、私の新しいシーツ、オーガニックコットン!」とこっちも奥の手まで出して張り合った。 悔しがっていた。 

 最終的に、この本を見て君を思い出したと結構素敵な本を提示された。 うわっ、こんな素敵な本出してくるなんて、なんか悔しい!と、本当は別に本なんか見なくても、しょっちゅう相手の事を思い出しているのに、私も最近見た一番かっこよかった本の事を言って、相手を思い出したと伝えた。 負けない為に。

 私はひねくれすぎているのだろうか。 書いていたら、段々相手がただの良い人に思えてきた。

No comments: