2010-01-26

メンター爺さん 二人目

 大学時代にもう一人強烈なお爺さんと出会った。

 ドイツ人の彼は、戦後バウハウスに泊まり込みでモダングラフィックデザインの研究をした生粋な人。 クレーが泊まっていた部屋に泊まっていたんだそうだ。

 ヨーガンという名前の彼は、本当に溶岩のようにホットでジュージューした感じの人で、言霊って本当にあるんじゃないかと思わず疑っちゃうような人だった。

 あっぱれな爺ちゃんで、いっつもものっすごく明るくて、ベタベタ人の事を触ってくる。 一回生徒の一人が「そんなに触らないで下さい。 触られるの苦手なんです。」と行った際に、「そうか、そうか悪かった」と言いながら彼の背中を撫でていた。 それぐらいに温かい人。 みんな最終的に大ファンになる。

 工業デザインが専攻だったので、グラフィックデザインは一学期しかやらなかったんだけど、今振り返っても彼が教えてくれた事は、全大学時代中でも際立っていて、本当に良い教師だった。

 彼の授業の課題は、洞窟壁画から今日の視覚芸術までを、一冊の歴史書にまとめる事だった。 文字の歴史や、媒体の歴史を美しくデザインするという、最高に楽しい授業。 完全にのめり込んだ。

 そんな彼は大学の近くの家に住んでいて、庭先で日光浴をしている彼を見ると、大きく手を振ってくれた。 「オーイ! これから家に帰るのか? 俺も今家にいる時間を楽しんでいるんだ。 これから奥さんが帰ってきたら、一緒に夕飯を食べてセックスして寝るんだー!」と朗らかに大声で叫ばれるから、「楽しんで下さいねー!!」とこっちも叫び返した。

 情熱的な老人は良い。 若者をワクワクさせてくれる。 こっちも楽しもうって思えるからね!

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