2009-04-17

木登り



 私は木登りが好きだ。 友達と木に登って、枝の上でゆっくりと時間を過ごすのが好き。 夜でも昼でも朝でも、木の上にいると世界はきれいだ。

 結構最近まで頻繁に木に登っていた。 ただヴィクトリア大学の私のキャンパスにはうまく上れるような良い木がなくて数年間木登りをしていなかった。 そうすると、「ああ、もう良い年なんだし、木登りなんてもうやっちゃいけないのかな…。 それに一緒に木に登ってくれるような友達も見つけるの難しくなっていくだろうし…。」と思い始める。 残念だけど、それが悲しくも成熟していくという事なのだろうと思っていた。

 最近出来た友達に「私、木登りがすごく好きだった」という話をした。 そうしたら、なんと相手はナイスな木を見つけてきてくれて、一緒に登ってくれた。

 家の近所にある教会の裏の公園にナイスにでっかい木があるのだ。 そして夜その木に登ると教会の聖歌隊の練習が聞こえる。 「この木が多分一番良い」と推薦してくれた。

 夕飯を食べた後、その木に登り、枝の上にねっころがりながら教会から流れてくる音楽を聞いていると、とても優しい気分になる。 なだらかな丘の上にある木で、下に広がる景色もきれいだ。 都会のど真ん中なんだけど、木の上にいると街から切り離されて気持ちがいい。 そしてステンドグラスやオフィスの窓から漏れてくる光を木の上で浴びるのが好きだ。 友達と枝の上でねっころがりながら、無言の時間を過ごす。

 ただ木の上に人がいる状況を道行く人達は想像していないので、99%すぐ上にいるのに誰も気がつかないけど、たまーに気づかれると、ものすっごく驚かれる。 それにつられて私も驚いて落ちそうになる。 そこだけは気をつけようと思う。 さすがに木から落ちていい年齢じゃなくなったとは思うのだ。

 帰り道、友達に「木に登るのが好きになった」と言われた。 「でしょ?! すっごく良いよね!」と木登りファンが増えた事を喜ぶ。 木登りは良い。

No comments: