2006-12-19

淑へ

年末だし、友達と第九の話しをしていた。

「あの歌詞は凄いよ。 なんか、ある種の方向に向かって到達している面があるよね。」と言ったら、意外や意外、彼女は歌詞の内容を知らなかった。 なんてこった。 
約束通り、のせておきます。





歓喜の歌(喜びの歌)
フリードリヒ・シラー(渡辺 護訳)


おお友よ、こんな音ではない!
もっとこころよい
もっと歓びに満ちたものを歌いだそうではないか

歓びよ、美しき、神のきらめき、
楽園よりの乙女よ
われら火のごとく酔いしれて
ともに汝の天の如き聖堂におもむかん

汝の魔力は世の習わしが強く引きはなしたものを
再び結びつけてくれる
汝のやさしい翼のひらくところ
すべての人々は兄弟(はらから)となる

一人の友の真の友となるという
難事を克服したる者
貞淑なる女性を妻としたる者は
歓びの声をともに挙げよ

そうだ、この世界の中で
たとえ一つでも人の心をかち得た者も
そしてこれらに失敗した人はすべて
涙とともにこの仲間から去ってゆけ

すべての物は
自然の乳房から歓びを飲む
すべての善なる者も、すべての悪なる者も
自然のいばらの小怪をたどる

その自然はひとしく我らにくちづけとぶどうの房と、
そして死によって試みられた一人の友を与える
虫けらにさえ快楽が与えられる
そして神のみ前には少年天使が立っている

天の広大な計画に従って
天のいくつかの太陽が飛びまわるように
走れ、兄弟たちよ、汝らの道を
凱旋の英雄のように歓びを持って

互に抱き合え、もろびとよ!
全世界の接吻を受けよ!
兄弟よ、星の上の世界には
愛する父がおわします

地にひざまずいたか、もろびとよ、
造物主の在すことに気づいたか、世界よ!
星の上の世界に、彼を求めよ!
星の上に彼は必ずやおわします。








私は、この
「これらに失敗した人はすべて
涙とともにこの仲間から去ってゆけ」って所が結構好きです。

2 comments:

Anonymous said...

私も初めて知ったわー。
ときめくものがあるわね。この歌詞。

私は、「もろびとこぞりて」
の歌詞もぐっと来ます。

でも、訳によって結構表現ちがうよね?

Anna said...

訳によって結構本当に表現違うよね。

ハイパー、神様よりになったりとか、
異常にエゴイスティックになったりとか。

笑えます。

もろびとこぞりても良いねー。

この歌の歌詞も、芭蕉の俳句も「詩という芸術」としてまとめ上げる事のできてしまう、むやみやたらな芸術というダイナミズムに私は感心し続けています。