2006-12-22

出会いを求めて

話しの腰が折れてしまいましたが、私が多摩美に行ってきて、そしてこれは日記に書こうと思った理由は李 禹煥の最終講義を受けてきたからです。 定年なので多摩美で教授として教えるのは最後の授業で、題名は「出会いを求めて」。 彼が71年に書いた本の題名からきている。


李 禹煥(リーウーファン)のことや作品をあまり知らない方は多いと思います。 (逆に高校の授業で彼が書いた文章を読んだって聞いた時は教育格差の現状を強く実感させていただきました。) 李 禹煥は名前から分かるように、韓国出身の現代美術作家です。 でも、日本現代美術において、最も重要な作家のうちの一人です。 


って、ちょっとでかく持ち上げてみたけど、私は美術史への切り込み番長ではないので、本音を言うと、一つの生き物である美術史にいかに彼の作品が血と肉を捧げたってのよりもなによりも、”私にとってとても重要”であるということ以上に重要なことはなく、そう、これ以下でもこれ以上にもなく敬愛している作家なんです。 とてもpersonalな作家の一人です。 


だから今回のこの記事は読む人にとって価値がある文章にしたいし、今知人友人たちと最も共有したいことなのですが、それ故に非常に難しくて、どう記録していいのか分からないです。とりあえず、私の友達は今私には自分に伝えたがっている事があって、それを一緒にアプリシエイトしたがっていて、でも能力が追いついていないんだと、大人の態度でこの文章を読んで下され。 


そう、一人の人間が七十年間かけて、紡ぎ上げてきた言葉を、一回聞いただけの私が上手に伝え直す事が出来るはずもなく、また授業自体を記録するのが難しかったで す。 一つの言葉、言葉の組み合わせと配置のが簡素に質が高く、そして非常に簡単に物を説明していました。 私がそれを要約しようとしても、ものすごく難 しい事を実は話しているので、難しくてたまらないんです。 だから、ほとんど先生が言った文章そのものを丸写ししてきました。 それらの言葉は、私が日々思っている事の全てに新しい息を吹きかけました。 


「長い時間がかかりました。」という言葉から講義は始まり、今日の仕事は紆余曲折をへた一種の到達点であると先生はおっしゃった。 (講義の題名が出会いを求めてなのと同じぐらいに古典的にかっこいい始め方だと思う) そして話しはクロニクルに進んでいった。 なんか上手に個人史と現代美術史と、そして彼の作品について、モノ派についてをその時間枠に沿わせて話していて凄かった。 どうしてそういう器用なことが出来るのかと単純に感心した。 


見ただけで全部が伝わってくる作品ではないので、細々とした謎が彼の作品に関してあったんだけど、今回はその謎が解けた講義だった。 本当に、今までわからなかった理由がわかった。 だって、そんな方向に頭使った事なんて一回もないものという方向に進められているのだもの。 彼は一人でとんでもない世界に突き進んでいたのだと驚いた。 読めない外国語の図録を本棚に入れているような、しかしどうしてもその本の視覚部分にはひかれ続けてしまうというのが、私と李 禹煥の作品の関係そのものだったんですが、(多摩美にいる間は2年間もかけて、永遠と様々な講義を通じて李 禹煥の作品について聞いたんだけど、いやー、全く理解できなかった。)今回初めて、言葉が私に理解できるものだった。


一緒に講義を受けた友人は、「4年間、謎だ謎だと思っていた、難しすぎると思っていた事が、この2時間の講義で全て、シンプルに表現されてしまった。」と呆然としていた。 本当にそうだよ。 聞く事自体が経験になる、(要するに、講義を通して一つの表現を体験した)そんなラッキーな講義がたまにある。 多分、年に一回、二回ぐらい。 または一つの授業が連続でそうなっていく事もある。 そういうのって、素晴らしい。 あと、私の場合、オーラルで聞くと理解できる事って結構多い。 人によってこれって全然違うらしいですね。 文字の方が分かりやすいって友達もいる。 

あー、全然まとまらないや…。

もうちょっとがんばってまとめてから書いてみます。
チャオ。



 

李 禹煥
1936年、韓国・慶尚南道生まれ。現代美術作家・評論家。多摩美術大学教授。1956年、ソウル大学校美術大学を中退、来日。67年、初個展。69年、評 論「事物から存在へ」が国際青年美術家展日本文化フォーラム賞受賞。60年代末から70年代初め、「もの」を使った造形作品を発表、71年の評論集『出会 いを求めて』など一連の評論活動により「もの派」と呼ばれる現代美術の動向を主導する作家の一人として国内外美術界に大きな影響を与える。絵画制作でも東 京、パリ、デュッセルドルフなどで個展を開き、数多くの国際展に出品。代表作「点より」「線より」シリーズ、著書に『時の震え』、『余白の芸術』など。画 集『LEE U FAN』など。

No comments: