2006-12-14

 旅行に行くのが結構好きな方で、細々とした旅行を繰り返しています。


旅行に欠かせない物の一つは本ですね。 これはみなさん、同意してくれる事でしょう。
私は毎回旅行の前には真剣にどんな本を持っていくかを検討するほうです。 リサーチとして数冊読み、特にこれだと思った本から、同じテーマの物を選んだり、同じ作家の著作を集めて持っていったりします。 


今回は、日本からカズオ・イシグロの著作を数冊持っていって、二日で一冊のペースで読み続けました。 海外で読む日本語ほど胸に迫り、境界線がはっきりとし、物語の形が見える瞬間ってないんです。 海外の、特に町中での日本語体験は、本当に極上。 特にそれがいい本ならいい本なほどにね。 そして、自分の言葉の存在のなさやらが相まって、自分と物語が近く近くなっていくその感覚も良い。 


でも何よりも、旅先で読む本はある種のドキュメンテーションとして機能する。 感情を記録したいと思った場合は、結構便利だと思う。 物語を読む時に自分がその本に肉付けする気持ちやら想像力やらが、後々その旅行で失いたくないと強く願う感心事とかをぱきっと思い出させてくれたりするんだ。 本を読んでいる時は、自分は本に語りかけるし、本は勿論こちらに表現を続けるし、十分に親密な話し合いが行われているんだと思うと、ドキュメンテーションとして機能するってのがシンプルに分かると思う。 細かい襞のような記憶とかは自分が書くメモや取った写真よりも、本の行間に上手く記録させる。 そういう所に記録される記憶は結構大雑把に忘れたくない事をおさめておいてくれる。 


『わたしたちが孤児だったころ』は、日本で読んでいたらこんなに自分の数日間を全て貢献した本にはならなかっただろう。 旅行中だから、体は韓国にいるし、友達と一緒に良い時間を過ごしているけど、自分がまるで『わたしたちが孤児だったころ』から旅行してきている旅行者のような気持ちになっていた。 どこから来たの?って言われたら「日本」じゃなくて「本の中から!」って状況になっていくんだ。 そうなったらしめたもので、全ての行間にソウルの空気をおさめる事ができるってもんです。


ちょっと便利ですよ。 まねしたい人はしてみて下さい。 旅行のテーマと自分の興味をよく考えて、選び抜いた本を持っていくと旅行の質がものすごく向上します。 本が自分のセンシビリティーをより高めてくれるし、日本で読む時よりももっと強烈な読書体験が出来るし、本も自分もお互いに凄く良く働きかける事が出来て、とても良いです。


そして、旅行のテーマにもよりますが、カズオ・イシグロは旅のお供としてとても良いと思う。 今回は本当に彼の本のおかげで過去に類を見ない素晴らしい旅行になった。 次の旅行はどの本を持っていこうかな。 

2 comments:

Anonymous said...

いやー!素晴らしい記事ですね。情感あふるる感じで。
今度旅行するときに試してみます。

Anna said...

おお! 誉められた! 
ありがとう。 

本当に試してみるといいよ。 かなりお薦め。