2009-10-08

図書館のジョン

大学生の頃、建築•デザイン学部の図書館でアルバイトをしていた。 その時私のボスだったジョンおじいちゃんが昨日癌で亡くなった。 自分が癌だと分かってからも「家やら病院やらにいても死ぬ事しか考えないから」と言って最後まで図書館で働いていたそうだ。

驚異的な記憶力を元に、ほとんどの本の位置と学生の名前を憶えていて、きちんと名前付きで挨拶をしてくれる温かい、本当に温かい人だった。 大学で職員からも学生からも愛されていて、みんなして「俺/私とジョンのとっておきの思い出」を一つは持っていて、結構自慢しあっていた。 その人の事を知っているというだけで大吉な気分になって嬉しくなる、そういう人だった。

今週末のお葬式に私はどうも行けそうにないから、ここにあんなに素晴らしいおじいちゃんがいたんだぞって事を書いておきたいと思う。

私にとってジョンは一般的な常識を沢山教えてくれた最高の人だった。 一緒に働く相手に対して爽やかでいる姿勢とか、協力の仕方とか、図書館に来る人たちに差し出す手助けの深度とか、誰に対しても持ち続ける相手を尊重する姿勢とか。 そういう働くにあたっての財産みたいなノレッジを一緒に働く相手に、自分の姿を通じてわんさか与えてくれた。 誰に対しても平等だった。 そしてとても楽しい人だった。 今書いていても感謝の気持ちでいっぱいになる。

大学の時の友達らとジョンの思い出を電話で話した。 「悲しいけど、今は悲しむというよりも彼の人生を心から祝福したいっていう思いでいっぱいだ。」と言いあった。 本当に、今は本当に周りの人を幸せにした、心の深いジョンの、彼のいのちの素晴らしさをただ祝福したい。 ジョンの事を思うと、胸に誠実な優しさや温かさが浮かぶよ。

御家族の方々は悲しみの淵にいるんだろうと思う。  ウェリントンにいる子たちはお葬式に行って、ジョンの偉大さを、家族に伝えたいと言っていた。 おう、そうしておくれと、言って電話を切った。

胸がいっぱいになるのは、締め付けられるのは勿論悲しいからだけど、でもそれだけじゃなくて溢れかえる様々な色彩の感情があるから。 こういう気持ちの時は、どうしてジョンがあんなに誰に対しても尊重の心を持ち続ける事が出来たのかが分かるような気がしてくる。 そしてありがとうって気持ちでいっぱいになるよ。 

さよならだけが人生だ。 だけど、同時にすっごいずっと続いていく温かい絆もある。

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