オークランドの図書館内にある日本語セクションに、大塚千野さんの「青春ロンドンどんどん」があった。 イギリスの同じ学校出身という事で、10年ぐらいにこの本を読んだ事があって懐かしくなり手に取った。
この本には彼女の16歳から22歳までの、サマーヒルを卒業しててからのロンドンでの生活の記録が載っている。 私がこの本を読んだ頃は、まだサマーヒルにいた14歳とかの頃で「学校を卒業したら、こんな感じの生活をするのかなあ」とぼんやりと思いながら読んだ。 ちょっと大人の話しだと思っていたのね。
しかしもはや私はこの本のなかに出てくる千野ちゃんよりも年上。 今回はまたちょっと違う視線で読めた。
前回と今回、共通して思った事の一つは、彼女の爽やかさと気持ちよさ。 文章を読んでいるだけで、その人の気持ちの良さが伝わってくる。 母校自慢じゃないけど、気持ちの良い人間を育てる事に関してはかなーーーり優れている学校だったので、これでもかってぐらいに面白くて気持ちの良い子達に囲まれてきた。 そしてやっぱりこの本から感じた著者の雰囲気にも同じ要素があった。 どっか、まっすぐで簡単なのね。 一緒にいると、温かい明かりとか、気持ちがいい風に吹かれている気持ちにさせられる、自分の友達たちを思い出した。 読んでいてとても気持ちがよかった。
今回読んでいて特に感じたのは、例えば同じような経験でも、私が見逃した事を細かくきれいに描写していることに気がついた。 それがとても面白かった。 多分心理的には色々あっただろうし、感情的な流れも沢山あっただろうけど、あくまでも視線とか考えが外の世界と繋がっていて、そこを描写しているんだよね。 多分、彼女ぐらいの年齢の女の子に自分の記録を書けって言われても、彼女のように外側の事を書けないんじゃないかなあと思った。 少なくとも私の場合は25超えた今でもそう。 すぐ自分の内側の流ればっかり人に伝えたくなっちゃう。 本当はたっくさん面白いことや、人に興味を持ってもらえるような事が身の回りに起こっていて、それを私は共有できるはずなのに、どうしてもお手軽な内側探索に行っちゃうんだよね。 そういうのださいからやめようって思った。
そして、もう一つ彼女の成熟さに驚いた。 彼女はアクティブで、寛容で、独立していると思う。 多分ある面においては自分もそうで、気がついてないだけで成熟している面もあるんだろうなとは思う。 そういう人達が多い学校だったし、それは教育方針がうんたらってのと同時に幼い時期から外国で親元を離れて住むっていう環境がそうさせているから。 ただ自分が当時「この年齢はこういうことをするよね、考えるよね」って思っていた事が、実際文字になって本に載っていて、それをその年齢を過ぎた後に読み返すと、「なんて早熟なのだ」と驚かさせられた。 なんかすっごい楽しそう。
今たまたま私は、勿論焦ったり萎縮したりっていうのは無しで、でも頑張ってパートナーとの事に関して成長している。 端から見たら、きっと「何そんな事にびびってんの?」って事でもいちいちびびっている。 そういうびびりに対してすっごくいい感じに背中を叩いてもらった気がした。 成熟していたら、自分が環境とインタラクティブな関係を持てる。 子供のひたすら無邪気な楽しさと同じぐらいに、そういう楽しさには価値があると思う。
すくすくいきたい。 逃げも隠れも無く、束縛とかオブセッションとかを持ちたくない。 思いの強さよりも、絆の強さの方が絶対に重要。 まっすぐで簡単な関係でいられるような成長を毎日したい。 毎日働きかけ合いたい。 ちょっと状況にのまれそうになっていたパートナーとの関係に対して、ちゃんと手綱を持ち直したような気分になった。
とても良い本なので、チャンスがあったら読んでみて下さい。 では、では。
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