2009-08-25

キャットレイディーとラビーズ

 私は猫に興味が無い。 実は今の家は2匹黒猫を飼っているけど、どっちがどっちなのかも分からないし、フラットメイトに餌をやっておいてと言われればやるし、猫の砂も変えるけど、本当に興味が湧かない。 名前すら咄嗟には出てこない。 これまでも何回か猫と住んだ事があるけど、仲が良かった事は無いし、こっちから触りに行った事も無い。 一匹の猫とは毎晩一緒に寝ていたけど、最後まで名前を覚えなかった。 連れ合いの実家にも猫が数匹いて、毎週末遊びに行っているけど、まだ一回もこっちから触った事が無い。 猫側から触られた事は数回あるけど、こっちからは何もしない。 それが私と猫の関係だ。

 猫が好きな人は猫眼があるようで、道端でもどこでも猫を発見する。 そして話しかけたり、呼びかけたり、触ろうとしたりする。 私は、人が猫を触って「アンナ、猫だよ」って言ってくれるまで、それに気がつかない。 猫はよく分からない。

 私の会社の先輩が中国へ三週間里帰りをして今日帰ってきた。 彼女はグラフィックデザイナーで私の直属の先輩。 ものすっごいキャラクターだ。 私は彼女ほど際立った個性の人間にこれまで会った事が無い。 大陸的とはこういう事なのかと思わさせるほどに、切れ味がよく、きっぷがよく、風通しの良い人で、良くも悪くも次元を超えて大雑把で、そして感情の触れ幅が激しく、面白い。 そして気が強い。 ものすごく面白い。 ワイルド アット ハートとでも言えば表現できるのかもしれないけど、本当に生き物として強いのだ。 

 そんな彼女はとてもとてもキャットレイディーだ。 離婚の際に「私の愛する生き物はこの猫達だけ!」とペットの猫に対する強烈な愛情に目覚めて以来、日々私からすると「そんな事思いつきもしなかった!」ってレベルで自分の猫を可愛がっている。 そして動物愛護団体にも入り、ヴォランティアで様々な動物に慈愛の手を差し伸べている。 

 今日久しぶりにあって、中国での話しを色々聞かせてもらった。 「最初の一週間は外国からの入国者ってことで(彼女はニュージーランドに帰化しているので外国人扱いらしい)新型インフルエンザ対策で隔離されたわ。 毎日ランダムな時間に衛生局から家にいるかっていう確認の電話がかかってくるのよ。」とか、「橋が壊れてたわ。 どっかーんと」とか、こっちからすると”やる事でかいね!”って話しの連発であった。 彼女のお土産のバカでっかいフガシを食しながら、ほうほうと話しを聞いていた。

 そして極めつけの思い出話が、「野良猫を撫でたら、噛まれたの。 そうしたら腕が腫れ上がって、変な赤い線が胴体めがけてブワブワブワーっと広がったのよね。 病院に行ったら、ラビーズに感染したって言われて、一週間今度は病院に隔離されて注射をうたれまくったわ。」だった。 最初、ラビーズという病名がぴんと来ず、またあまりにもカジュアルにその話しをする姿に疥癬かなんかに感染したのかと思った。 (疥癬もかかった友達曰く、地獄の苦しみらしいのでカジュアルな話しじゃないけど…) でも話しを聞いているとどうも狂犬病なので、ウィキペディアを見てみたらやっぱりどんぴしゃりで狂犬病だった。 「狂犬病かよ!!」とあわを食った私。 どこか遠くでの病気だと思っていた。 空港で警告を見るけど、まさかとなりの席のデザイナーが普通に感染するとは…。 のんきな私とニュージーランド人のデザイナー二人で「死んじゃうじゃん!!! ちょっとあなた、すごい危険よ?!」と慌てふためいた。

 「そうよねー、あの猫はきっともう死んじゃうのよね…。 かわいそうに、かわいそうに…。」と猫に対して深い同情を示す彼女。 猫に対する怒りゼロ。 キャットレイディーの神髄を見たって気がしたわ。 やっぱ動物好きになるなら、それぐらいじゃなきゃだわよね。 

 これからも何回かワクチンをうたなくてはいけない彼女は、祖国の恵まれない猫達に深い同情心を示していた。 偉い。 偉い、あなた偉いと、私一人で痺れた。

 三週間の里帰りで2週間の隔離。 本当に、何をやっても大々的ですねとこっちは感心したよ。 とりあえず彼女の復帰と近代医療に乾杯!!

1 comment:

Lefol said...

こんにちは。
相互リンク、どうもありがとう!
何だかAmeba Blog以外はうまく画面上に
出せないようなので、もうちょっと研究して
みます。
せっかく許可してもらったのに、ごめんなさい。

日本語の小説を読まなくても、ここで小説
よりも面白いノンフィクションを読ませて
もらえてます。