2009-08-22

印刷物がすり終わるとき

 私は印刷物がすり終わった瞬間が結構好きだ。 匂いもいいし、達成感を感じるし。 今も何件か紙媒体系の仕事を終わらせなくちゃいけなくて、こまごまと仕事をしているんだけど、本当に平面紙媒体のデザインって立体物とか動く物とかのデザインと違う醍醐味があって面白い。

 この間写真撮影をしている現場に、その日写真撮影をしなくてはいけなかった広告やカタログが印刷屋さんから到達した。 このギリギリ感、たまりませんね。 市場のおっちゃんのような気分で写真家さんに「ほいやっ! 刷りたてだよ!」って売りさばきたい気持ちに駆られたよ。 もう、手に握ったらぴちぴち動き出しそうな新鮮さ。 ああ、なんでいつも仕事ってギリギリになるんだろう。

 私はグラフィックデザインにはあまりかかわっていないので、このカタログとか広告のプロジェクトには深くかかわっていなかった。 でも自分のメインの仕事(プロダクトデザイン)でやったことが、ユーザーにまず伝わる最初の入り口で、そして本当にワンダフルにその入り口を作ってもらえたので、手に取った瞬間に嬉し涙が出た。 絶対、自分の仕事よりも感動したわ。 それぐらいに良い出来ばえだった。

 カタログはこれまでのプロセスの結果がまとめられたアルバムのようなもので、見ていて、本当に胸が熱くなったよ。 それでまず思ったのが、「このプロセスをこんなに気楽に恐怖心もそんなになく気持ちよく出来たのは、家人のおかげだ!!」って感謝の気持ちと、そして「こんなに面白く仕事が出来たのはチームの皆様のおかげだ」ってことだった。 それ以外何も思い浮かばなかった。 もっとエゴイスティックな「俺様偉大!」系の感情が沸くかと思ったけど、そうでもなかった。 案外、あたし、謙虚な良い人だった。

 周りから見ると、結構淡々と仕事をしていたように見えるらしい。 ただ出来る限りのベストプラクティスを探していた。 プロジェクトをパーソナルにとってしまうことによって制約や自分自身へのセンサーシップが働くのを避けた。 でもだからって出来上がったときに喜びが少ないかというとそういうわけじゃなくて、多分すっごい十分喜んでいる。 淡々と、ただ黙々と仕事が出来るコンディションとシチュエーションを作り出してくれた人たちにすっごい感謝した。 今度、ご馳走作るから待っててねと思った。 プロジェクトが終わったら、周りの人ががんばったねってお祝いしてくれる。 終わってみるまで気がつかなかったけど、実際は、自分がお祝いされるよりも、まずは自分と一緒にいてくれた人に、感謝の気持ちを込めてご馳走を作って、飾らない日をただ一緒に喜びたいと思うのね。 多分、そっちのほうが今の私にとっては贅沢だから。 仕事って、本当に一人ではできないね。 だから楽しい。 ご馳走作るぞー!

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