2007-06-05

おちょこ

 おちょこが三つあった。

同居人の挙動がおかしくて、「今日のお前は変だ!」「いや、普通です」「いいや、普通と言いながらもコミカルすぎる」と言いあっている時に、手元を確認せずにティーポッドを取ったら、横においてあるおちょこが落ちて割れた。 非常に美しいおちょこで、とても慈しんできていたので衝撃は並でなく、日本語で「なんてこった! しまった! やってらんねーよ!! 家にかえりたい!」と言ってしまうぐらいにふがーんと落ち込んだ。 これからは人とお酒を呑む時に、二つしかおちょこがないじゃないか。 ってことは、さしで呑む事になるんじゃないか。 そんなの嫌だ!

 まあ、君や他の同居人が割っちゃったら許さなきゃいけなくなるけど、自分で割ったんだったら別に許さなくても良いし、ただ落ち込めば良いから良かったとするわと言い、床にかがみ込んでいたらすっごい考え方をして生きているんだなと同居人に笑われる。

 笑っている同居人の横で、心の奥底では「元々はお前の挙動が今日おかしいからだあーーー。」と叫んでいた。 笑うってどうよ? お前、どうしてこの傷ついている私の横で笑えるのだ?

 最近私が気がついた事は、この人間にわざわざ心を近づける価値は無いという事だ。 そういう質を多分こっちが持っても、持たなくても多分、結果は全く変わらないね。 そういうタイプの人間だと一緒に住んで2ヶ月目に気がついた。 この人間とは、さらっと弱みを見せずに建前の関係を持つ事に限ると日々思わさせられる。

 外見的には、もう一人の同居人の方が冷たく、シャープな感じなんだけど、実際の所結構逆で、知れば知るほどに優しくしてあげたいとか傷つけたくないとか温かさを注ぎたくなる。 なぜならば、彼の人との関係の持ち方が優しさと温かさでできていて、ちょっと話すだけでも心がほわっと温かくなるからこっちもそうしたくなるのだ。 

 そして一見柔らかい、今日挙動がおかしかったこの男は結構に冷たい。 自分と他人の間にはギロチンがフランス革命ばりに、がっちゃーーーーんと落ちているのである。 空間が違う! 兄ちゃん、お前ヨーロッパ人だねと勝手にジェネライズをしている。 割れたおちょこを眺めながらそんな事を思ったよ。 行間を読むとか、無し! その強烈な個性に面白さを感じ一緒に時間を過ごしたりはするけどね。 

 

2 comments:

Anonymous said...

同居人のように笑ったりはしないけどへーなるほどと思いました。
その考え方大人だわ。
でもヘコむよね。

Anna said...

おとなかしら? 
ちょっとうれしかったわ。