十年後に見たら、「なんじゃこりゃ! プリミティブだな!!」ってなるんだろうなと思うのがこの家庭用3Dスキャニング。 立体物をスキャンでき、データをCADに移せるんだ。 まだ一般的に普及する為には発展途上の技術だけどおもしろい。 プロフェッショナルな領域ではもっとアドヴァンスモデルが山ほどあるし、すっごいスキャニングが出来るんだけど、家庭用だとこんな程度です。
何となく暇つぶしに花をスキャンした。
スキャンするとこんな感じ。
上から見るとこんな感じ。 レーザーが当たらない所はまだ読み取れない。 このガタピシャな感じがレトロで良いと思う。 子供の頃に使っていたマックの超初期のソフトとか、デジカメの「こんなんなら別に撮らなくったってよくない?」ってレベルだった時の事とか思い出す。
ラインで見るとこんな感じ。
全部三角形でかかれています。 なんでだろう。 頭に「数学祭り!」という言葉がよぎる。
それにしても技術ってのはまさに日進月歩です。 数年後には完全なイメージがもっと簡単にスキャンできるようになるんだろう。 なんだか過去と未来を一気に感じる。
まだソフトが技術者用っぽい感じ。 工業デザイナーが使うプログラムのほとんどは、まず技術者用に作られたのに+αがついたソフトだ。 そのソフトを使うインテンションが違うから、どれだけ優れた技術者用のソフトも、デザイナーからすると「もっと、こういう感じの事が出来れば!」ってのがわんさかある。 これも本当に日進月歩。 きっともうすぐ、クリエーティブ用のソフトが開発されるだろう。
たまに技術が大好きで、「このスキャナーを使って商品開発」とかって走るデザイナーに会う。 まさに工業デザイナーの鏡。 デザインのモダニズムも、機械を使ってどうやって優れた製品を開発していくかという所から始まったわけだし、この考え方は伝統的だ。 こういうタイプの人が、これからのクリエーティブジョブ系のソフトを開発していってくれるのだろうし、山ほどマテリアルサンプルとか作ってくれる。 偉い。
ただ性格とか発想の仕方の違いなんだと思うんだけど、私はあまりそういう方向に熱中できない。
半年前にやっていたプロジェクトでは、自己組織化していく素材を使ったデザインってのを考えて色々やったけど、どっか熱中できなかった。 これからの技術の方向を考えると、ナノテクと上手く働けそうな結晶とかに熱中して仕事をするのがいいのかなと思って、自分の好みとか関係なく無理矢理やったプロジェクトだった。 ちょっとしてから、同時期に結構沢山の人が同じようなプリンシパルで実験をしていた事を知って、やっぱりみんな同じ事考えているのかとがっかりもしたし、嬉しくもあった。 ただ、私は素材とか技術ドリブンでは発想出来ないタイプのデザイナーなんだなと言う事を知ったプロジェクトだった。
素材、技術ドリブンでのデザインが苦手だと考えると、私に一体何が出来るのだと疑問が上がる。
考えながらぼんやりとでも感じた事は、私は機能と編集に興味があるんじゃないかと言う事だ。 機能って言葉は意味が多すぎるから、もっと限定すると「アプリケーションと編集」。
「こうやって編集したら、ユーザーが分かりやすく使えて、エレガントなシステムになるんじゃないか?」って仮説を考えるのが、他のデザインの方法と比べたら得意な方だと思う。 素材も技術もその後に来る。 もうある物を応用したり、編集したりする方が、開発したり技術を押し進めるよりも、私には適していると思う。
フレームワーク作りが上手いと言われる事があって、「昔キュレーションの勉強をしていたから、なんでも展覧会的に考えちゃうんだよね」と冗談を言ったりしているんだけど、実際その通りなんじゃないかと思う。 (キュレトリアルスタディー万歳!)
どちらにせよ何よりも大切な事は、どれだけ自分のやろうとしている事の伝達力をあげるかで、それは表現力にかかっている。 もし伝達したいのならば、何よりも表現力を磨く以上の事はない。 どんなドリブンで物事を進めようとも、全く違う次元で、表現力ってのは必要で、それはコツコツとやるしかないんだろう。
3Dスキャニングをしながらそんな事を考えていた。
表現豊なデザイナーになりたい。
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