ちょっと強烈で、でもバランス感覚のある男の子と週に二回定期的に会っている。 一回は日曜日の昼過ぎのコーヒーの為で、もう一回は週の真ん中で彼の選んだ映画を見る為だ。 可愛らしい人で、私は会う度にちょっとうきうきする。
彼の今回のセレクションは、三島由紀夫の「憂国」という30分のショートフィルムだった。
能舞台上で二人の男女が人生の最後の瞬間を演じ、それを映画として記録している作品なんだけど、結構おもしろかった。 その男女は、切腹するっきゃねえってなった若い軍人と、その奥さんで、彼らは舞台上で審美的なめろめろセックスをし、そしてハードコアに視覚的な、内臓飛び出まくりの切腹を繰り広げる。 英語のタイトルは"ritual of love and death"。 まさにその通りで、loveに15分、deathに15分、合計30分な合理的な内容配分。
映画の根幹を支えているプリミティブな美に熱狂的に共響できたら魂に響くんだろうけど、現代人的な感覚で見ると白々しい気分になる。 そんな映画。 あくまでもアングラ。
友人が何故これを選んだのか分からないけど、確かに男女二人が大学の図書館のAV roomの隅っこでイアフォンをつけてみるっていう様式美にはあっていた。 ある種の親密感を私たちの間に作り出した事は確かだ。 多分、私たちの周りだけ温度と湿度が高かったと思う。
プリミティブなセンスに訴えかけてくる分、やっぱり見終わった後は強烈な高揚感となんでも出来ちゃう感が沸き上がってきちゃうから、何となくこの映画が日本で気軽に入手できるようになったらよろしくないだろうなと思う。 現代と適応できていない人とか結構気持ちよく流されちゃいそう。 単純な感じが良いんだろうね。 youtubeでも全部見れるみたいだから、物好きな人は見てみて下さい。
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