2008-05-07

母音

 昔からの親友と今の親友がいる。 二人ともとても大切な友達。 

 昔からの親友は大学が違うからそこまで頻繁には会えない。 家は隣同士なんだけど、ちょっと遠距離な感じなのね。 

 さっきまでそのちょっぴり遠距離な親友が久しぶりに家に来ていて、美味しいお茶を一緒に飲んだ。 彼の大好きなRufusu WainwrightのNatashaをかけて、ソファーでごろごろとして、「この音楽をかけると急に部屋がオレンジ色になるよね」とかって言いあって、楽しかった。 枯れていた心に潤いが。 有り難い。 潤いを与えてくれる友人は、本当に心身注ぐに値する。 

 彼はすっごく温かくてスウィートハートでラブリー。 私が知っている人達の中で一番美しい発音を持っている。 彼の母音って本当に温かいんだよ! 彼の声が作り出す空気の震えは本当に国宝級。 大きな風が山の木々の輪郭をゆっくりと揺さぶっている時のような、夜明けの直前の温かさみたいな、妙に色っぽくて温かくて、透明な発音をするの。 スパニッシュギターヴォイス野郎なのね。

 最後に「最近会えないから寂しいよ、もっと一緒にいようよ」とか言いあって、バイバイをした。 ちゃんと週末に一回は会うようにしなきゃって約束をした。 で、ぎゅっとハグをしたんだけど、その瞬間にどれぐらいお互いが一緒にいなかったかが分かった。 私の抱きつき方が彼用のフワッと抱きしめるロマンティックなハグでなくて、いつも大学で一緒にいる子用のギューーーーってするやつ距離感ゼロのになっていたのだ。 お互いにちょっとびっくり。 

 かなりくだらない話しなんだけどちょっとした発見だったんだよ。 2週間ぐらい会わないで、そしてその間に違う人と集中した時間とかを過ごしていると色々小さなマナーが変わるんだって分かっておもしろかった。 もっとこの子と沢山の時間を過ごしたいなと思ったと同時に、無意識のうちに私のハグの対象になっている今の親友の存在感もおもしろかった。 その人がその場にいない時に、始めて自分の周辺にその人が引いた輪郭みたいなのが見えたりする。 大切にしなきゃ。 本当に彼らを大切にしなきゃと玄関で一人しみじみとした。 

 それにしても彼から教わった人の温め方ってのは、なかなかなギフトだと思う。 彼が温かいように私も周りの人に対して温かい人でいたいと思う。
 

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