2007-10-22

La vie en rose


sad and painで思い出したんだけど、La vie en rose(邦題 エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜)を見た。

友人たちがとても薦めてきたので。 
「大泣きだよ!」につられて、泣きたかったから一人で夜中にもぞもぞと行った。 


まず、この映画を好きな人の為に、私は私がいかに幼稚かを説明しなきゃいけないと思う。 私の心の耐久度は著しく低くて、なおかつ感度は異様に鈍い。 そういう私が言う事だって事をまず理解してからよんで下さい。 ただ、こういう映画の見方をした人間が一人いるという事への興味で読んでいただけたら幸いです。 


とりあえず、この映画は私にはホラー映画にしか見えなかった。 全部基本的に怖かった。 「ひいいっ」ってずっとなってみていて、映画館の椅子に一人でのけぞりかえって、椅子の手を乗せる所(なんっていうんだっけ?)をぐわっと掴みながら見た。 確かに泣けたけど、ほとんど怖くて泣いただけで、残念だけど感動の涙とかではなかった。 


まず、細かい模様がいっぱいついているものを見るのが苦手だから、壁紙とかカーペットとか、そういう舞台装置全部が怖くて仕方がなかった。 「お仕置き部屋」ってのを想像する時は、ああいうわけのわからない細かいものがある場所を想像する。 海岸の岩のフジツボとか見ている時に失神しそうになる感じと同じで、だから画面をじっと見れなかった。 テクスチャーが普通の映画の五万倍ぐらいある映画で、本当に細かくて、口の中に砂をいっぱい入れられたような気分になった。 あと音楽も凄くリッチで、細かい音とか、つぶつぶとしていて、それも耳に知らないおじさんが海の匂いがする砂をどんどん入れてくるような感じがして、五感が圧迫されて苦しかった。 そういう意味では凄いリアリティー。 

火曜サスペンス劇場とか、昭和のテレビドラマとかと同じで、うらぶれた気持ちになった。 美空ひばりさんとかの存在に共通するテクスチャー。 「蕁麻疹」とか、「渇いた肛門」とか、そういうなんっていうのか、ようするに高熱系。 高熱を出している時に見る夢と同じカテゴリーの映像でした。 エモーショナルなんだもん。 すっごいエモーショナルで怖かった。

頭では「これは距離感の問題でつぶつぶした感じも、主人公の呼吸の感じも、他人事なんだからもっと遠くからの視点で全体を捉えなくては」って分かっているんだけど、妙に吸引力のある映画で、いちいち翻弄されて、最後はぐったりした。 全然、大きな流れやらを掴む事無く、一瞬一瞬が私対映画の格闘だった。 もしこの経験を作り出す事が制作者側の意図だったとすれば、間違えなく大成功。 そういう意味ではとっても上質な映画かもしれない。 うん、なんか急に自分の中での評価が高まってきたぞ。 

良い映画だったかも!


最近、こういう「お仕置き部屋」系インテリアなバーがウェイントンで微妙に流行っていて、「俺、ちょっと大人なんだ」っていう感じの人達が連れて行ってくれる。 さすがに暗いから、そこまで模様で溢れかえったまるで内臓の中にいるような圧迫感はないけど、だからって広々とした感じはしない。 確かに一緒にいる人との距離は縮まる。 そしてこっちはヒヤヒヤしているから、結果として相手に興奮しているような気分になる。 ただ、お店から出た後の開放感で、全てが吹っ飛ぶけど。 お仕置き部屋。 あんまり増えてほしくない系統のインテリアですね。 ううう。 怖い怖い。

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