2010-06-26

GとT

高校大学と通してクラスメイトだった友達が二人いる。 GとT。 私は彼らと大学に入ってから、すごく仲が良くなった。

 彼ら二人は、小学校からの親友で、傍目から見ていたら恋愛関係に見えるぐらいに深い友情を持ち合わせている。 私もずっと彼らをゲイのカップルだと思っていた。

 感度最強の脳内ゲイダー(誰がゲイかを見分けるレイダー)を持ち合わせているとされている、私のゲイの親友(彼も高校からの友達)すらもがずっと彼らをゲイのカップルだと信じ込んでいたぐらいに、強固なブロマンスを育んでいる。 私はそんな彼らの濃密な友愛の輪に入れてもらった。 私達についたあだ名は、Team thresome(チーム 3P). プレゼンの直前に三人で手をつないで輪になって、ぶつぶつとつぶやいていた(祈っていたのだ)所を目撃した講師に名付けられた。

 そんな大切な私のGとTは、最近ヨーロッパに越して行った。

 Gは長年の遠距離恋愛をしていた子と、共同生活を始める為にロンドンへ。 「ロンドン引っ越しても仕事ないだろうから、起業する」と勇気を奮い立たせてイギリスに行った。 そして、そんな様子を見たTは「お前が起業するなら俺も行く」と一緒に働くためついて行った。 さすがなブロマンス。

 でもTが行った先は、御自身の母親の実家のあるポルトガル。 おーざっぱだな!!! まあ、近いっちゃ近いけど、遠いっちゃ遠い。

 そして勿論GとTには「お前もこい」と言われている。 チーム3Pだからね!

 でもさー、NZの子は大抵何個か国籍持ってるし、先祖がEU出身な場合なんかは特に「長野から埼玉に引っ越す」って感じでいろんな国に引っ越せるけど、こちとら、近隣諸国に行く際にすらヴィザを本気で取得する為のプロセスが必要な、国際関係的なガラパゴス、日本国出身者。 

 悪いが私の国にはそんなおおらかな友達はいない。 同盟国であり、基地の提供すらしているのアメリカさんの国土内での労働すら許可されとらん、ひじょーーーに、ガラパゴスな国籍所有者なのでそう簡単には動けません。

 だから乗り継ぎの韓国の空港から私の職場に電話をかけてきて、「俺今からポルトガルに行くけど、あんなもおいでなさい」なんて、そんな無茶ぶりはやめてくれ。 NZでの労働ヴィザをとるだけでも私精一杯ですので。

 私は子供が「なんで私の家ではリカちゃん人形が買ってもらえないの?」って感じにしょげる。 「なんで私の国で産まれちゃうと、どこの国からもすごい難しいプロセスを踏まないと住んで言いよって言ってもらえないの?」って思う。

 でもまあ、考えてみたらつい最近まで、日本のご近所さんは、ロシア、中国、北朝鮮、韓国、台湾と、無条件で人の行き来を許す為には、日本もどっちかっていうと赤くなったり、国政荒れた方がいい感じなコンディション。 日本のシャイさも関係あるかもしれないけど、近所の人達にも難あり! これからに期待だ! 

 なので国際電話で、私の国籍のコンディションを説明した。 「消費者じゃなくて人民にならなくちゃいけなかったし、なっていたら余計にEUなんて行き辛いわい」と。

 ポルトガルに行くTは、お父さんが南アフリカ出身の黒人系アメリカ人、お母さんがポルトガルからの移民一世のアメリカ人(NY出身)で、NYで結婚してNZに来た。 この時点で彼は生まれながらに、NZ国籍(これでオーストラリアで無条件で永住ビザ発行してもらえる)、アメリカ国籍、EUと南アフリカの永住権を持っている。 そりゃ、好きな時に好きな所に引っ越ししやすいよな。 ほとんどの大陸制覇じゃん。

 やっぱりなんだかんだで、永住権とか国籍何個か持ってる子たちの方が、就職に対する危機感とか、キャリアの組み立てとか、おおらかにやっている。

 「結婚しよう。そうしたらアンナも動きやすくなるから」とチーム3Pならではな、おおらかな事を言ってくれたので、「考えとく! マジで考えておくから、君はまだ誰ともつきあわないでっ!」と返事しておいた。

 英語覚えろとか、東大に留学生増やせとか、色々小手先な事を日本の人達は最近言っているけど、とりあえず近隣諸国と仲良くなる、もしくはせめて同盟国ぐらいは自由に行き来させてもらえるようになるって次元を求めた方が、英語を覚える意味も、留学生を受け入れる意義も生じてくるよねえ…。 そんな事を思ったなり。 でもそんなプロセス想像するだけでも200年ぐらいかかりそうで(その間に総理200人)ぞっとするから、個人レベルでがんばろうっと。
 
 日本ぐらい国籍からの制約を受けている先進国の国民も少ないだろうから、まあそこを面白がるのも手かもね。 どうやって面白がれば良いのか分からないけど、とりあえず「珍しいだろ!」ってさ。 ミニマリズムの境地だよ。 日本国籍だと国籍一個しか持てないし、融通が効く場所も日本しかないし、もうこれ以上そぎ落とせない境地。
 
 私の友達は大抵Tみたいに、色んな選択肢を持っていて、大人になってから便利に使っている。 比べてもしょうがないけど、どっかは比べてしまう。 考えさせられるよなー。

No comments: