2008-11-29

Wolf Parade I'll Believe in Anything

大学三年生の時永遠と繰り返し聞いていたWolf ParadeのI'll Believe in Anythingを今日パーティーで久しぶりに聞いた。 心に響いた。 多分今日の心境とあっていたのだろう。

今日人とお別れをした。 バイバイをした後、生まれてはじめて、ただ悲しくてオイオイ泣くという経験をした。 意識の上ではある種の達成感があって正しい事がおこっていると思っているのに、ただ体の反応として涙が止まらなかった。 ああ、繋がっていたのは言葉だけじゃなくて、身体もだったんだなあ、体が悲しがっているんだと泣きながら、ちょっと冷静に思ったりした。 私の体が相手を大好きだったんだ。 

ただその人に関してはほとんどの事がそうだったように全てが結構奇跡的に美しかった。 その時森にいたんだけど(ニュージーランドらしいでしょ?)息が止まるほどに美しかった。 相手の声も、多分鼓膜が聞いた事がある中で一番美しい音だった。 深くて、息があって、震えていて、潤っていて、響いていたさ! 色彩の祭りだ。 

バイバイした後は、正しい事が今自分におこっていると思う時に訪れる、静かな美しさがあった。 落ち着きと悲しさと、絶望と希望と全部が静に調和した気分でいて、でも声を上げて一人で泣いていて、頭の片隅でロスコの絵の事とか思い出していた。 そういえば、いつでもその人の事を思っていた時はロスコとか思い出していたなとか、そういう変に現実的な事を冷静に思いながら、体は悲しくて悲しくて涙が出た。 私の中のロスコの絵画はその人に捧げようと思う。 別にその人の事を具体的に思い出したいとかって感じはないから、マークロスコの絵画の中に気持ちを埋め込もうと思った。

そしてその後に行ったパーティーでこの曲が流れていた。



この曲のタイトルは"I'll believe in anything"という。 良いタイトルだ。 グッケンハイム美術館で行われた蔡國強のタイトルは"I want to believe"だった。 このタイトルには心のドアをジェントルにノックされた。 これも良いタイトルだと思う。



"I'll believe in anything"と"I want to believe"。 ちょっとしか違わないタイトルだけど意味合いは結構変わる。 ただ両方、かなり核心をついている言葉として私には響く。

ついでに言うと、数年前のヴェネチアビエンナーレで行われた展覧会"In Dreams and Conflicts"のメインキュレーターFrancesco Bonamiの出したステイトメントのタイトルは"I have a dream"だった。 その文章には素朴に良い事が書いてあったので、コピーしてノートに張ってある。 終わる事の無いテロや戦争、そして差別の話しをした後に、"Today our society still needs to dream and strive to make dream reality. History is an endless stream of dreams generated by conflicts, and the endless stream of conflicts is the tragic concequence of unrealized dream."と言ってその状況で芸術は何をするのか、巨大な国際展の立場とは何かを議論している。

そして同じようなコンセプトで行われたデザインのコンファレンスが今年のアアルトアカデミーの"It's a beautiful day"だ。 この閉塞感溢れる社会情勢の中でどうやって自分で決心をして美しい一日を送るか、そしてデザインに何ができるかってのがテーマだったらしい。 その後コンファレンスの結果の着地点として、参加していたデザイナー達が選び、合同でデザインする事にしたイベントが"結婚式"だったのが面白かった。 デザインのトレンドが9.11以降保守に戻ったと言われている。 人々は安心感があり温かく頼りがいのあるオブジェを選ぶようになっているそうだ。 家を要塞のようにしたいんだろう。 そこで、そういう風潮に反発したがっているデザイナー達が、ウルトラ保守の代表格のような結婚式っていうイベントををテーマに選んだってのは、これに参加したデザイナー達の密かな決心を感じる事が出来て面白いと思う。 あえてそこにいくかって感じの所で挑戦する人達は賢い。 (プロジェクトのドキュメントはここを見て。

そしてこの全体にある自分達の持っている無力感に対して立ち向かおうという風潮はなんなんだろうか。 そしてどうして私もわざわざそういうのばっかり選ぶのだろうか。 本当に世相が悪いんだよなあ…。  そういう状況で強いステイトメントを言う為には本当に勇気がいる。 「ただでさえ失敗が重なっているんだから、これ以上の損をしない為に黙っておこう。」ってなるじゃん。 でもこんなときだからしたたかでいたいし、足りていない物を真剣に考えて、補っていきたいとも思う。 個人的なレベルで言えば、私と相手の間には長い間足りていなかった、言われていなかった言葉とかがあって、それを言うのは簡単な事じゃなかったけど、言った後は少しだけ物事が正しい軌道に動いた気がした。 やった感ありました。 うん。 そんなかんじ。

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