2007-11-12

偶然は日常

 日常的に偶然がおこる。 狭い街なのだ。

今日スタジオを片付けて、荷物を梱包し、知人の家に夏の間預かってもらう為に持って行った。 段ボール五箱になったよ。 疲れた…。 私の背丈ぐらいのゴミ箱が二回満杯になったと言ったらその壮絶さが伝わるだろうか。 

 そんなこんなで料理をする気になんてなれないし、なによりも別れが惜しいからみんなで隙を見つけては呑んでいる。 なので昼に友達の友達の家でバーベキューをしに行った。

 ホストをした人は、いつも三歳ぐらいのとても可愛いお嬢さんをつれて学校に来ている人で、直接話した事は無いけどとても目立っているので顔は知っている人だった。 シングルマザーで、もう二十代も後半(もしかしたら三十代なのかもしれない)なのに建築の勉強しているなんてかっこいいなあとは思っていたけど、別に話す必要も無いし、彼女の事は何も知らなかった。

 家はとても素敵で、光がさんさんと降り注ぐ美しい庭があり、家の中はなんだかとても懐かしい感じ。 なんか私の家と似ている。 なんか酷似している。 おお、気があいそうだ、しかも作っている料理も食べた事がる系統のやつだとワクワクする。 とても良い昼下がりで疲れた体にはもってこいだった。 

 そんな彼女に私はインダストリアルデザインやっているんだと言ったら、家の弟もそうよと言われた。 そして卒業した大学名と年度を言われて、「ああ、私の同居人と一緒だ」と答えたら、そいつの名前を聞かれた。 「ノアって言うの」と言った途端に彼女はのけぞり、「それが私の弟!」と叫んだ。 お、お姉様でしたかと私も驚く。 娘さんを見ながら、同世代の男女が一緒に住んでいる訳だからちょっと仲良くなりそうな瞬間ってのは勿論あったので、「私、あなた様の叔母になっていたかもしれません」と奇妙な感慨にかられた。

 よく見ると顔がそっくり。 作る料理だって似ている。 当たり前だ! 同じ釜で育った人たちなのだ。 それにこれは典型的なシュタイナーに行ったヒッピーの家なのだ。 クレヨンハウスっぽくない訳が無い。 家の内装やら持っている物のタイプやら懐かしいに決まっているじゃないか。 毎日見ている。 お互い「すごい偶然だよね」とぽかんとしながら見つめあってしまった。 

 この同居人は私の最近仲良くなった子の同居人と同じチームで働いていたりと、やけに偶然の「こんな所で彼の話しになるとは」が多い人なんだけど、偶然彼のお姉さんの家でお昼を頂く事になるとは驚いた。 

 家に帰ってからその事を彼に伝えたら、別に大して驚いてもいなくて、「よくあるよね」で流していた。 この人は一体どれだけの偶然が日常におこるのだ?と、結構ばったり人に会う運がある方の私ですら彼の「偶然は日常」な態度に驚く。 やっぱり血中ヒッピー濃度が高くなれば高くなるほどにこういう事って怒るのだろうか。 そこら辺、だれかもっと詳しく私に教えてくれませんか?

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