ヨーロッパな感じってある。
ヨーロッパから引っ越してきたばっかりの子たちの持っている独特の空気感、質感。 特に大陸出身の子たちは独特。 話し方とか、仕草とか、服の感じとか、人との接し方とか。
大抵誰でも一年もこっちに住めば、誰でも結構ポリネシアな質感になる。 だからヨーロッパな質感って、引っ越したて一年目位の達にぐらいしかないレアな質感。
こっちに越してきたての子たちに会うと、結構懐かしい気持ちになる。 イギリスの学校にはヨーロッパ中の子たちが来ていたんだけど、彼の感じをふわっと感じるんだ。 すごく懐かしい異質感。
理系の博士課程ってのは、椅子取りゲーム状態に世界中の学生が色んな大学を行ったり来たりするみたい。 家人の友達で博士に残った子たちと遊ぶ時、大概NZに留学したての子たちを連れてくる。 「この子NZに来たてなんだ。仲良くしよう。」ってさ。
そんなご縁で、この間家にギリシャから留学してきている子が来た。 20代後半位の、ひょろひょろっと背が高くて、無精髭がワサワサっと格好良く生えた、オリーブ色の肌の子。 バイオエンジニアリングをやっているらしい。 学部の間はロンドンに住んでたって割には全くイギリス訛がなくて、強い「地中海!!!!!」訛がある。 彼のアクセントを聞いてるだけで、空が晴れて、海が澄み渡って、日焼けしそう。 軽さとか、柔らかさとか、女の子が大好きな感じとかが、体の中に詰まっていて、彼はキラキラしていた。
そのギリシャ人の子は、二十代後半のスイス人の女の子二人と、ドイツ人の男の子(16歳!!!!)を連れてきた。
皆でダイニングテーブルをびっしりと囲み、横にあるソファーにもぎゅうぎゅうになって座って、ひたすら喋った。 特に男の子たちがノンストップで喋りに喋っていた。
その間お酒を呑んだり、窓の外を見たり、膝の上にのせている雑誌や本をよんだり、誰かの会話にコメントを入れたり、年下の子の言うお馬鹿さんな話しに笑ったり。
夏の夜はどんどんと深くなっていって、窓から入ってくる風は優しく温かい。
ちょっと額に汗をかきながら、黙ったり、興奮して大きな声を出しながら面白いことを言ったりを繰り返す。
男の子たちはくだらない冗談や、終わりがない議論を繰り返して、女の子達はそんな男の子を、「ちょっと馬鹿ね」って感じで見つめる。 でも自分もかーっとなって、誰よりもボムな発言をしたり、大興奮で意見を言ったりする。
からだの感覚がどんどんとイギリスの真夏の夜に戻っていく。 窓の外にイギリスの森があるような気持ちになる。 懐かしいなぁと思っていたら、ギリシャ人の子が「今、ヨーロッパにいる気分になった」と言った。 同じだったから思わず笑ってしまう。
人が持ち込める雰囲気ってのはすごい。 体のサイズ以上に、多分私たちは周囲の空気も所有していて、そこに内面が投射されているのかもしれない。