2009-06-20

おいしいごはん、その後

 毎日をただ何年間も何年間も、こんこんと一緒に過ごしていた友人とは面白いぐらいに価値観が近かった。 培ってきたもの を感じた。 

 人生で今いる位置も近いし、求めているものも若干被る。 そうすると方法 論も似てくる。

 そんな彼はご飯を食べながら、「僕はこれから三年間は、リレーションシップが作れないと思う」と断言していた。 リレーションシップって、恋愛から生じるパートナーシップについての事。 要するに誰かと一緒に生きるのではなく、単身者として暮すという宣言を三年間分突然した。 「大きく出たな、お前!」と思いつつも、すっげー気持ちは分かった。

 彼の研究に対して奨学金が出たので、これから一年近くまた違う国に留学し、その後アメ リカにある本命の研究所を受けようと思っているアクティブな彼は、「基本的な引っ越し」だけでも、この三ヶ月で四カ国する事になっている。 勿論、入国後 にどれぐらい引っ越しが待っているかってのは未知数だ。 どうしてそんな事がおこってしまっているのか分からないけど、とりあえず彼は、局地的なお引っ越 しの嵐に揉まれている。 

 引っ越しは、心を弱める。 特に国際間の引っ越し(ビザ関係含む)程、最強の去勢は無いと思う。 奨学金の申請も、それが海外のだったり、巨大な額の奴だったりすればするほどに、しなしなにエナジーを吸い取る。 マジで性欲も何もかも吸い取られるプロセスだ。 それを彼はいつも頑張っている。

 彼の場合、自分にかけているプレッシャーが「引っ越しの度にキャリア的にグレードアップ」っていう、当然と言えば当然、でも三回目の引っ越しのゴールがMITのメディアラボに設定されている時点で一回一回の引っ越しで相当なジャンプを求められるすごいやつなので、 余計に「この事以外考えない」って路線になっているんだと思う。 気持ち、すっごくわかる。 「今恋愛なんてやってらんない」ってなるわな。 こんなに自 分が不安定な綱渡りをしていると分かっている時点で、誰かの人生を自分の人生に取り込む事は出来ない。 言いたい事は分かる。

 それにめ んどくさい相手とかに掴まっちゃったら、引っ越しは出来なくなるし、でも愛情もあるから捨てきれないし、自分の冒険家気質みたいなのに罪悪感すら持ち始め るし、ろくな事にならないもんな。 実に合理的な判断だ。 見事に恋愛の値段は調べ尽くしているけれども、価値と可能性には目をつぶっている。 ナイスに 緩い判断だ。 価値に目をつぶり、値段だけ見たら、そりゃあ、パートナーシップなんていう冒険には手を出さないよね! 気持ち分かるよ!!

  気持ちは分かるけど、相手を知り尽くしている私は、「でも絶対君は誰かに好かれて、ちょっかい出されてなびいちゃうんだよな」と思いながら話しを聞いてい た。 手に取るように分かる。 その状況が目に浮かぶもの。 「ああ、こんな価値、気がついてなかった」ってなっちゃうのだ。 だってこんなにいい男なんだもん。 手を出すだろう、それこそ全ての女が!

 そんな事 を考えていたら、相手の事がもっと好きになってしまった。 とりあえず、頑張れよ、失恋が訪れて、どうにかなっちゃいそうな時には、私が横にいてやる。 横で「自分で、こうなるからやらないって言ってたのに」って笑ってやる。 いっぱい頭をくしゃくしゃになでて、大笑いしてやるのだ。

  私は彼のパートナーとしての実務能力の高さを知っている。 そんじょそこらの男の子じゃない。 呆れるぐらいに良い男だ。 心が本当に広いし、勇気もあるし、思いやりも強いし、何よりも人に優しくて愛情深い。 一回この男の子の味を知った ら、他の適当な男の子なんて視界にすら入らなくなる。 そしてそんなにいい男に大抵の女の子は会った事が無いから、速攻で惚れられちゃうだろう。 絵に描 いたようなキウイハズバンドなんだ。 理想のパートナー。 あっはは。 だから惚れられちゃって、求められちゃって、でもわかれなきゃいけなくなっちゃったりとか色々あって、大変な目にあうんだろうな。

 もし、神様っているんだってぐらいの幸運が彼に訪れたら、彼の大冒険について行けるぐ らいに能力が高くて自立していて、どこでも仕事が見つけられる、フットワークの軽くて健康的な良い女の子を見つけられるだろう。 そうしたらしめたものだ。 絶対にその女の子は誰よりも幸せになるし、彼もこれまで以上に素晴らしいパートナーになるだろう。 いつか、絶対にそうなるよ。

 大丈夫だよ。 何がどうなろうと大丈夫。 君は本当にすごい子だからとご飯を食べながら私が大笑いしながら言ったものだから相手は不機嫌になっていた。 自分の必死の決心を馬鹿にされたような気になったんだろう。 

 やっぱり、色んな女の子たちに「彼みたいな親友が欲しい」と言われた理由が分かった。 こんなに面白い子が親友だなんてラッキーだ。 「君みたいな男の子が私の親友なんだと思うと、自分の幸運さに胸が痺れる」と言ったら、「僕も全く同じに思ってる」と紋切り型な返事をされた。 ちょっとまだふてくされていた。 あっはっは。 可愛い。

2 comments:

momoholiday said...

sookさんのところから飛んできました。

この文章と音楽にやられた!

なんてせつなくて、強やかなの!!!

Anna said...

momoさん

良い歌ですよね。 これはFrankie Lymonが13歳の時に作曲したんだ。 すごい才能だよね。

すっごい伸びやか。

面白い事があったらまた書くし、音楽ものせるのでまた来てくださいね。