2008-03-04

未来と仮想

 ある通信系の企業との産学協同プロジェクトで、80年後の世界の為のデザインしている。 デジタルメディアデザインの子たちとインダストリアルデザインの子たちでチームを作り、半年かけて研究することになっている。

 80年後には仮想空間と現実空間の重要性の比重が逆になっているのではないかという仮説から、そこで必要とされるプロダクトを作ろうというのが今回のプロジェクトだ。 まず、80年後をシュミレートしようとチームメートとひたすらミーティングをしている。 

 間違えなくPCはもう無いよねとか、インフォメーションテクノロジーは体内に取り込まれて行くのかなとかって部分まではまだ分かるんだけど、そっから先がチンプンカンプン。 ここで私は初めて「異文化にいる」体験をしていると思う。 脳の作りが違うんじゃねえかってぐらいに、なんだか全く意味が分からんのだ。 まさに、夢のガリバー旅行記。 私のチームメートたちは、とても楽しそうに、ぽんぽんとアイディアを出して、未来予想をしていくのに、私はこれっぽっちも80年後の世界に対する想像が無い。 正直言ってお手上げです。 自分の貧弱さに意外な方面から出会ったと感じましたよ。 未来に対する体力や想像力が全く違うのだ。

 美術史やら現代美術やらコンテンポラリーアートやらに集中していたこの過去数年感、今日、昨日を考えるか、百年前を考えるかの違いこそあれ日々過去を向いていたので、未来の事なんて考えた事がございませんでした。 「これからの80年間で起こる変化はこれまでの人類史で起こった変化よりも大きいだろう」と未来学関連の論文を読んだりしていると書いてあるんだけどマジで? 昨日と今日の差に最大限の驚きと過剰な表現を求めている世界に身を置いていた私としては、そんな事を言われたら驚きで心臓が止まってしまうのだけれども!!

 すでにレポートの提出の仕方や授業内での情報の交換の仕方がハイテクすぎて戸惑っている私は、80年後の仮想世界についてなんて考えるだけで頭が痛い。 楽しいけど、痛い。

 英語で書かれたこの手の文章は意外な程多いし、今回初めて知ったんだけどクラス中の人が一回ぐらいはSFを読んでいるし、結構先の未来予想を何個かは知っているようだ。 私はそんなの自慢じゃないが一個も知らない。 体感温度として、「これからの10年間で日本は私が知っている日本と比べて嫌な感じに変化していってしまうんだろう」っていう末法思想みたいなのは日本にいた時にニュースなんかでガンガン見たけど、意外と技術が絡んだ未来予想を私は知らない。 よく東洋と西洋の自然観の違いとかってのは聞くし、確かにあるよなとも思うんだけど、それよりも(それによって?)未来観や科学観の方が全く違うんじゃないかと思えてくる。 今のテクノロジーにあっぷあっぷしている私は先を思ってヒヤヒヤする。 

 仮想空間ってアイディアもよく分からないし、未来的ってのもよく分からない。 分からない事づくしからこのプロジェクトは始まっています。 誰か良いアイディアとか知っていたら教えて下さい。

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