2006-11-24

カズオ・イシグロとラス・メイヤー

 今月は時間が湯水のようにあります。 本当にラッキーです。 こんなに幸運な時間を何に使おうかと考えていた時に、まず頭に浮かんだ事が、小説を読むことでした。 

 カズオ・イシグロ の本は、イギリスでもニュージーランドでもいつでも本屋で平積みだから興味はあったんだけど、余裕がなくて読んだ事がなった。 で、今回日本の本屋さんでたまたま翻訳のが出ていたから、日本語でなら短期間で読めるし(英語だと多分一ヶ月はかかる)、今やらないでいつやるんだと、ちゃきちゃきっと読んでみました。 "Never let me go"
、邦題「わたしを離さないで」を読んだ。 美しい題名だと思う。








 読む前に作家に期待したり、人の作り出す想像物がどれだけの力強さを持つ事が出来るのかを知りたがる、ストーリーの内容そのものよりもその背景のコンセプトが何よりも大切だという態度を信じる、そういう人にお薦めの本です。 ディテールの中で何を描写するかしないかを選ぶその倫理やアディチュードが結構力強い。  あと、素晴らしい映画になるポテンシャルに溢れている作品だと思う。 それか、非常に映画的な小説とでも言うのか。 そういう意味で現代的なんだろうな。 


 色々なアスペクトで読む事が出来る小説なんだけど、一つ、多分私が言う事に意味があることを。 この話しは、イギリスの全寮制の学校の思い出と、その後の卒業生の話しなんだけど、その寮の話しの地に足がついている感じが凄い。 寮ってこんな感じだってのを表しています。 寮で育った子には是非読んでもらいたい本だ! 思わず私がまたそこにいるような錯覚につつまれた。  

 面白いと思ったのは、これは感情の小説だってこと。 ハプニングによって物語が構築されるというよりも、これは感情についての話しで、私はいつも一人で悶々と「こんなに感情的で私大丈夫?」と自分のことをうさんくさく思っていたんだけど、とりあえず、もっと感情で世界を見る人がいることが分かって良かった。 そして何よりも、やはり完成度って大切なんだなと学びました。 



 完成度と言えば、ラス・メイヤーの作品を見ました。 友達の旦那さんの一番好きなポルノらしくて、鑑賞会がおこなわれたのです。 いやー、凄かった。 凄いリアリティー。 写楽とか、そういう浮世絵の世界。 現実感はここに生きていると映像を見ながら思ったね。 ロサンジェルスで育った旦那さんは、「これが僕が育った街の色と形なんだ」と子供時代を懐かしんでいた。 凄い所で育ったんだなあ。 ところで、この監督の狂気はその巨乳への情熱だけでなく、とんでもなく斬新なモダニズムの平面構成だと私は思う。 メイヤーがエイゼンシュタインの仮の姿でも驚くまい。 どうして第二次世界大戦で全ての前線に参加し、戦争の記録映像を作っていた男がここまで凄い平面構成を生み出し、なおかつそれを巨乳で昇華したのか。 謎は深い。 でもそこにリアリティー。 

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