2011-03-03

表現の差

同じ事を取り扱っていても、表現の方法によって伝わってくる情報が変わる。

黙祷の時の映像を見比べてみて思った。

TVNewZealandが先日の二分の黙祷を報道したときの映像がこれ。



2分間まるまる見せ、音もかぶせない。 主要な都市からライブで映像を送っていた。 カメラも動かない。 カメラマンも一緒に黙祷をしているような見せ方。 人が動く様子が入ると、映像が切り替わっているようにも見えるから、ある種の意図も感じる。 でも、これは報道というよりも、多分、追悼の一環なので、しょうがないのかもしれない。 追悼に対する真っ当さと、sincereさを示したかったんだろう。 国内でこの映像を見る人の感情を配慮している。

アルジャジーラのは情報量がとても多くて驚いた。 1分27秒の間にこれだけ詰めれるのかと、感心した。 NZに住んでいない人達からしたら珍しいんじゃないかと思う箇所もきちんと映っている。 短い時間の間にNZの持つコンテクストを読み解く情報が沢山入っている。 儀式の前にマオリの長老が祈り、女性が歌う事。 首相の前に置かれているレンガが、震災を象徴している事。 公式発表で手話がつく事。(会社でも会議の時とか、ミーティングには手話がつく) 世界中から人々が助けに来てくれた事。 黙祷の規模の大きさを伝えているし、これがとても感情的な儀式だった事も映している。 こういう文化背景を持っている人達なのねってのを、短い時間で伝えるのが上手なんじゃないかと思う。(あと、印象でしかないんだけど、アルジャジーラって、その場のマイノリティーの人達への扱いを意識的に多く撮って入れている気がする。)





日本の報道は、顔のアップが多い。 文化的背景を知る事を通じて相手に対する親近感を育てるというよりかは、もっと直接的な人間の感情表現を見せる事によって共感させようとしているのかもしれない。 あとニュースに限らないんだけど、日本映画とか、漫画とか、ドラマでも顔のアップが多いよなぁと思う。 感情表現を顔から読み解くのが得意なのかも。 広告もバストアップの写真多いよね。 顔が体のパーツの中でもずば抜けて好きなんだろう。 そして、多くの日本人の方が行方不明になっている事もあり、その事についても報道されている。 

BBCの動画は黙祷の様子と、首相へのインタビューで構成されていた。インタビューに答える事によって、首相から国民、世界へとメッセージを送らせている。

同じ素材を報道している2分間弱の報道でも「誰に見せるか」によってとても変わる。 視聴者が世界規模か、それとも現地の人間か、特定の国の国内向けかによってニュースは変わる。

見比べていると興味深い。

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