2011-09-22

久々の人間関係

就職をして以来3年近く、15m x 15mの倉庫(職場)でほとんどの時間を一人で過ごしていた。 1人で働き、1人で食事をし、1人で帰るという生活をずっと続けていた。 

私の仕事のプロジェクトの1つがその倉庫をオフィスに転換させる事だったので、そのプロジェクトが終わるまでほぼ終止1人。 他の部屋に行ったり、建物に入れば人は沢山いるから会議とか仕事のやり取りでの人間関係はあったけれども、それでも職場での80%ぐらいの時間は倉庫で1人で過ごしていた。 

そういう環境にいると楽勝で社交の技術なんて地に落ちる。 元々乏しかった人間関係の技術はこの3年間で幼稚園に入る前位の次元まで落ちた。 お役所の人達とのお金とか戦略に関する会議の場に、バレエのチュチュみたいな妙なレースのスカートに鼓笛隊のジャケットを着て、靴履き忘れて靴下でとことこ行く事に疑問を持たなくなる程度には状況は悪化していた。(その姿を見て驚いてはいたけど怒らなかった上司は人間が出来ていると思う。)

 イギリスではヒッピーの学校に行っていたので、同窓生には結構社会的常識がない人達がいる。 例えば日本の会社の面接に無邪気に疑いもなくビーサンで行ったりとか。 そういうのを見ていて、「私は違う。 一般常識がある。」と思っていたんだけど、それは自分を過大評価していたに過ぎなかったと今回の経験で気づいた。 私の一般常識は所詮あってないようなものだったのだな。 

そんな「漠然とした荒野のような私」が突然数人の人達とオフィスを共有する事になった。 身内以外の他の人類と接する事自体ほぼ3年ぶり。 最初はかなりぎこちなかった。 「どどど、どうしよう。 朝のお茶の時間になったけど、一緒にお茶飲もうって誘うべきなのだろうか」とか「突然、ううう、歌ったりしちゃいけないのかな…」とか「鼻かんで良いのかな」とか悩みはつきない。 

しかもそのうちの1人とカー プーリングをしているので、通勤も車の中で2人っきり。 「ななななな、なにか話すべきなのだろうか…!」とか「ちちちち、沈黙されてしまった!嫌われた…?」とか27歳とは思えない人間関係ペーパードライバー状態な私。 カー プーリングしている相手は、ド派手な戦略担当のインド人のシックなマハラジャみたいなゲイの御姐系男性。 

「酸いも甘いも分かりきった感じの人間関係マジマックス得意な感じな彼」対、「挙動不審な私」。 とんでもない組み合わせである。 

明らかに生命の輝きで負けている。 

「俺ようぇー!」という音だけが脳内でこだまする。 

「昨日はホットな友達と映画を見た後バー行ったから眠いわ!アンナは何してたの?」と聞かれれば「げげげ、原発とか放射能の事調べて…、チェルノブイリのドキュメンタリー映像みて、その後、アアアアア、アムネスティの署名活動を行い、芋食って9時には寝ました…。アワアワ。モゴモゴ。」と答える感じ。 完全にかみ合ってない。 相手からしたら未知との遭遇であろう。 

「わわわわ、私、言いたい事が、ううう、うまく言えなくて…!」と口ごもる、よく言えば"思春期の悩める少女のようなアラサー"、平たく言うと"獣"が車にのっているのだから。自分でも自分を不気味だなって思うわ★

 人間関係ってのはお酒と一緒なのだなと思う。 よく呑んでいる時は強くなるけど、呑まないと途端に呑めなくなる。 オフィスに人が移ってきた当初は人間関係下戸状態で、人と10分一緒にいると人間酔い状態になっていた。 そして1週間ぐらいその環境にもまれると慣れてきてだんだんとスムーズになっていく。 

ただ、慣れてない分調子に乗って自分の社内での立場を崩壊させる事も簡単に出来ちゃいそうなので、「慣れてきた」と「調子に乗ってきた」をよく見極めなくてはいけないと、気を引き締めている次第でございます。 とりあえず、トイレから出た時にスカートがパンツに挟まってお尻が出てるとか、調子に乗って社内の人の悪口を言ってしまうとか、口を出さなくて良い事に口を出してプロジェクトを難航させるなどの事態は徹底的に避けるべし。 

パーソナルになりすぎず、しかしガタピシャでもない、ある程度スムーズでそしてドライな人間関係を成立させなくては。 

環境には恵まれていると思う。 今回私が身を置いている群衆の大半はインド人男性たちなのでかなり楽だ。 この3年間色んな人達と一緒に仕事をしてきて、インド人IT関連の人達はかなり自分と波長が合う事を学習した。 少なくとも彼らは結構ありのままを受け入れるようなので、はじめっから「アンナはアンナのままでアンナなのだ」的寛容さがあるし、私の奇妙さをそこまで辛辣にジャッジしないおおらかさがある。 

私の大好きな菩薩系な人類だ。 

逆に「だめだーーー!こんがらがってきた!目ん玉が頭蓋骨の中でぐるぐる回転する感じ!」と一緒に働いていてカオスに連れて行かれるのが、大人になってこっちに来た、大陸系華僑の人達。 

そして違う意味で、でも同じ位にカオスなのが、日本国内にいる日本の人達。 よく取引で日本の方と働くけど、独特でワークフローがよくわからない。 素材屋さん達が良いものを沢山持っているのに、英語出来なかったり、ITシステム使いこなしてなかったりで、一緒に仕事がしにくかったりする。 

両方とも一緒に働いていると混沌としてくるという意味では一緒。 日本も中国も仕事の仕方がその国使用ですごく発達しているから、その流れに慣れていないと相手の行動の意味を理解するのが難しいのだよな、きっと。 仕事の仕方が世の中一般のスタンダードになれなかった事が日本のネックだよなー。 

ただ、両方とも、人が温かいという面も共通していて、一緒に働いていて温かい気持ちになるから好き。 

久しぶりに人間にふれ、私も人間的余裕ができてきたきがする。 今後に期待!

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