2010-07-12

Wellington

 友達の送別会に行く為に、ウェリントンに行ってきた。

 彼は私の恩師であり、ボスであり、悪友である、とても親密で素敵な友達。 二人で自転車操業の研究室を運営していた。 こっちの夏休みになると、二人で研究の為に冬の日本に帰り、一緒に冒険をした。

 彼のパートナーは当時ミラノに住んでいて、クリスマスになると私達と合流しに東京に来て、私の多摩美の頃の友達も交えて、何年間かとても素敵な冬を過ごした。 

 そんな彼のパートナーは、ブラジル、ミラノと建築家として放浪した結果、ロンドンに居を落ち着けた。 そして長らく超遠距離恋愛をしていた二人は、一生これから一緒に過ごそうと決心したらしく、NZの大学をやめて、彼はロンドンに引っ越す事に決めた。 

 私は冬の度に、東京で恋人としての二人と行動していたので、唯一彼ら二人を良く知っている人だった。 多分、だから彼からしたら私は大切な友達だったんだと思う。 私はいつも彼の行動を、彼と彼の恋人、二人の為の行動として認識していたし、こっちからちょくちょく彼の様子を彼の恋人にも伝えていたし。 私は二人の関係がとても好きで、彼らを思うと胸が温かくなる。

 送別会では彼を好きな人達が沢山来ていた。 彼の生徒も沢山来ていたし、同僚たちもいて、彼の業績や人柄の素晴らしさ、情熱、聡明さを讃えていた。

 通常のケースなら、そこには彼のパートナーがいて、彼の事をすっごい誇らしく思って、心を温かくしたんだろう。 パートナーの不在をすごくすごく残念に思った。 だって、みんなすっごく去って行く彼を讃えていたから。 現場にいたら、本当に本当に誇らしく思っただろうな。

 その事を今度ロンドンにメールして、伝えてあげなきゃって思っている。 「想像するだけでもすっごく嬉しくなっちゃうぐらいに、みんな君の恋人が大好きで、特別だと思ってるんだよ!!」ってさー。 結婚(って言っても、デファクトにするらしいけど)への最強のはなむけだよね!

 私も、こんなに素敵でかっこいい子と、友達な事がすごく嬉しくて、去っちゃう事は寂しかったけど、すごく幸せだった!

 彼の素晴らしい所の一つは、わざとらしくない、でも上品で親密な愛情表現だと思う。 私には数人ウェリントンにとても親しい友人がいる。 高校生の時からの友達で、彼も私を通じてたまに会っていた。 そのうちの二人とは東京で一緒に旅行をしたし。

 でも送別会に呼ぶほど親しくはないだろうと思っていたので、最初彼らを招待したと聞いた時はその太っ腹ぶりに感心した。 彼は「お世話になった人達に感謝の念を示したい」って事で送別会の為にかなりの額を自分で出したし、私の飛行機代も出していたので。

 ぼけーっとしている私は、案外すごく彼らの事が好きだったのかなあと思っていたんだけど、後になって私の友達に「あんながすごく楽しめるように、あんなの好きな人達もみんな呼びたかった」って言ってたよと言われた。 友達は彼に「招待してもらうのは申し訳ない!」と言ったみたいなんだけど、「来てくれたらあんなが喜ぶから」って言って誘ったみたい。(勿論彼らが、そこまでいっぱい遊んだ訳じゃないけど、お互いにとても好意は持っていて、いい関係だってのが前提にある)

 私はそれを聞いて、すごく感心した。 なんて良い人なんだろうか。 私は感情的であけっぴらに「大好き大好き」ってやるから、そうしない彼は、「まあ、悪くないんじゃない?」って程度に私を好きなんだと思っていた。 でも、考えてみたら、いつもすごくサポーティブでいてくれたし、支えになっていてくれた。 そして私の友達にもとても優しかった。

 今回は自分の送別会の中に、マトリョーシカみたいに、私の親密な友達同士のパーティーも内包してくれた。 そういう男なんだよなあと、すごく相手の事を誇らしく思った。

 なんて素敵な男の子なんだろうね。 本当に本当に誇らしかった!

 彼に対して大好きな気持ちでいっぱいで、とても幸せだったその夜を、私の他のとても大切な子たちと一緒に過ごせたのは最高だった。 私は高校のときの友達と手をつなぎながら、みんなが去って行く彼に言う素敵なスピーチを聞く事が出来た。

 高校の時からの友達には「彼は本当に素敵で、愛情深い人だね。こんな友達がいてよかったね!」と言われて、結構ほろりときた。

 去って行く彼からは、ロンドンで新しい生活をパートナーと始める事で、大興奮で、とても幸せなのが、横にいてひしひしと伝わってきた。 それもすごく嬉しかった。 で、彼のいろんな人にたいして持っている強い愛情と忠誠心は、パートナーとの関係が充実しているからなんだよなってすごく納得した。

 私は多分、ホスピタリティーとか思いやりを実行する技をまだあまり持っていないんだと思う。 いつも友達の私にしてくれることを通じて「こんなに人に優しくしていいんだ」って知る。 その度に、温かくなれる。 熱を分けてもらえる。 体の細部に血が巡る。

 嬉しいね。

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